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神よ憐れみたまえ
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商品詳細
内容紹介 | |
---|---|
販売会社/発売会社 | 新潮社 |
発売年月日 | 2021/06/24 |
JAN | 9784104098101 |
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商品レビュー
3.9
57件のお客様レビュー
最初の方からずっと百々子のことが心配だった。周りからの視点で描かれる百々子が起きてしまったことの惨さに比して落ち着き過ぎているように思えたし、百々子自身の気持ちの抑え方も、このままでは壊れてしまうのではないかと思ってしまったし。 しかし、百々子は最後まで百々子らしくて、杞憂だった...
最初の方からずっと百々子のことが心配だった。周りからの視点で描かれる百々子が起きてしまったことの惨さに比して落ち着き過ぎているように思えたし、百々子自身の気持ちの抑え方も、このままでは壊れてしまうのではないかと思ってしまったし。 しかし、百々子は最後まで百々子らしくて、杞憂だった。 ところでタイトルの『神よ憐れみたまえ』は、誰のことを指すのだろう。百々子の壮絶な人生のことなのか、両親のことなのか、はたまた左千夫のことなのか。 570ページの長編だったが、飽きることなく、すっかり百々子の人生を一緒に歩んだかのような満足感。
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朝日新聞の土曜日版で著者のエッセイを読み、著書を読んでみたくなった。タイトルにも惹かれ借りて読んだ。 570頁近くあるけれど、2日で読み終えたほど引き込まれた。 『神よ 憐れみたまえ』とのタイトル。そう神に訴えたいと思うようなタイプではなかった主人公百々子。 12歳の時...
朝日新聞の土曜日版で著者のエッセイを読み、著書を読んでみたくなった。タイトルにも惹かれ借りて読んだ。 570頁近くあるけれど、2日で読み終えたほど引き込まれた。 『神よ 憐れみたまえ』とのタイトル。そう神に訴えたいと思うようなタイプではなかった主人公百々子。 12歳の時に両親を殺された。でも、「私は自分が特別に不幸な運命を背負って生まれた人間だったとは思っていない。思ったこともない。」と言う。 一人っ子だったけれど、裕福な家庭に生まれ育ち、両親亡き後も、経済的に何ら困ることとはなく、彼女を暖かく見守ってくれる人々がいたから、そう断言できるのだろうと思う。 そして、「今になっても、私の中にはあの12年間を好きなだけ眺めることのできるプリズムがある。そのプリズムを通しさえすれば、いつだってあの頃を取り戻すことができる。巻き戻した時間の先に見えてくるのは、私の人生の中に、揺るぎなく確かに実在した小さな王国なのだ」と言える、あたたかな光に包まれた記憶と。 そんな百々子が、還暦を過ぎ、若年性認知症と診断される。直ぐに記憶がなくなってしまうわけではないけれど、いつかその日はやって来る。それでも、「終始、幸福そうに笑っているのだろう」と思う。 「生き抜く、というのはたぶん、そういうことのような気がする」と語る百々子は、同時に「神よ、こんな私を憐れみたまえ」と静かに訴えているのではないだろうか。 そして、百々子だけではなく、彼女を取り巻く一人一人に対しても、そう祈りをこめているのではないだろうか。読み終わってそんなことを感じた。
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厚みのある小説だった。 苦悩は伝わってくる。不幸も。 ただ、そこに読むことの楽しさはある。割合としては、五分の三くらいだけども。
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