ひきなみ

千早茜さんを読むのは4冊目、図書館で目にとまり手にしました。 千早茜さんのコメントによると、 「「ひきなみ』というタイトルは、最初から考えていたものでした。波のようにすぐに消えてしまっても、残っている跡がいっぱい続けばいいというささやかな希望を託しています。最後のシーンを描きたくて、葉の視点で物語を進めましたが、そのときの真衣の心情は読者の方の想像におまかせします」とのことでした。なるほど~ 思春期の出来事を機に真以に心を寄せる葉だったが、真以は脱獄犯の男と共に逃亡、姿を消してしまう。20年後、ネット上で真を見つけた葉はたまらず会いに行くがーー 島特有の文化や因習の中で友情を育む第1部「海」と、約20年後、東京の大手企業に入社し、上司らのハラスメントに日々疲弊する葉が、真以の消息を知る「陸」の2部構成からなり、個人的には不安な気持ちになる1部より、再会する2部が心地よく希望をもって読めました。 幼少期をアフリカで過ごされ、日本へ戻った転校先での経験も反映されてるのかなぁ〜これは想像です。 過去に読んだ本は、マリエ、透明な夜の香り、神様の暇つぶし。今現在はマリエが気に入ってます。

よかった。 島に住む2人の少女の友情、別離、再会を描いた物語。 登場人物たちの感情がその質感がわかるほど伝わってきて苦しくも心揺さぶられた。 特に葉の真以に対するもやもやした感情や不安とか、大事に思っている気持ちとか、入り乱れるいくつもの感情がリアルで一言では言い表せない。 また、島に根付く男尊女卑の空気感、真以へ向けられる偏見の目、葉が上司から受けるハラスメント、どれも生々しくて痛くて、私自身にもあるであろう偏見について考えさせられた。 葉と真以、2人の持つ強さと弱さ、その関係性の尊さに胸を打たれた一作。 ☆4.0