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刺青・少年・秘密 改版 角川文庫

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商品詳細
内容紹介 | |
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販売会社/発売会社 | KADOKAWA |
発売年月日 | 2021/02/25 |
JAN | 9784041109748 |
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刺青・少年・秘密 改版
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商品レビュー
3.8
5件のお客様レビュー
谷崎さん、すいません!あなたは変態かと思って敬遠してましたが、天才でした! ・刺青 清吉という腕の良い刺青師がいた。彼の願いは、輝くように美しい肌を持つ女性を見つけ、その肌に自らの魂を刻み込むことだった。 そしてついに、彼は16、17歳の理想の女と出会う。彼女を睡眠薬で眠らせ...
谷崎さん、すいません!あなたは変態かと思って敬遠してましたが、天才でした! ・刺青 清吉という腕の良い刺青師がいた。彼の願いは、輝くように美しい肌を持つ女性を見つけ、その肌に自らの魂を刻み込むことだった。 そしてついに、彼は16、17歳の理想の女と出会う。彼女を睡眠薬で眠らせた清吉は、背中に女郎蜘蛛の刺青を彫った。 目を覚ました彼女は、自分の背中に刻まれた刺青に感激する。清吉もまた、願いが叶ったことで満足した。 嘘でしょ!え?って思いますが、一件落着である。 ・秘密 秘密めいたこと、そこにはスリルに近い感覚があるのかもしれない。女装して街を歩く。気付かれているのか、いないのか。その緊張感がたまらなく、また気付かれないようにするための技も魅力の一部なのだろう。しかし、決して秘密を知られてはならない。明かしてはならない。 台無しになってしまったじゃないか! ・少年 「泥棒ごっこをしよう。」そんな他愛もない遊びから、サディズムやマゾヒズムといった性癖が開花し芽生えることがあるのだろう。あくまでも内に秘めていたのかもしれない。 また両者はどちらの気質も持ち合わせているが、大抵の場合、どちらかが主となるようだ。そして、その延長線上にはスカトロジーの世界が広がっているのかもしれない。 自分にはそうした嗜好はなく、理解しがたいし、気持ち悪さも抱くのだが、同時にどこか変態的なものへの興味や魅力に惹かれてしまうところがある。 変態たるや!自分の変態指数が低くて一安心! ・悪魔、続悪魔 強迫観念に囚われ、死を恐れ、神経症に悩む男、佐伯。 ある日、彼は下宿先の娘が鼻をかんだハンカチに、人間の歓楽世界の裏側に潜む秘密の楽園のようなものを見出し、次第に神経症を克服しかける。 しかし、それは一時的なものであり、根本的な解決には至らなかった。 死の恐怖を乗り越えるには、むしろ死に接近するしかないのではないか?と考えた佐伯は… “殺される”という極限の境地に踏み込むことこそ、行き過ぎた先にある究極の解放だとしても!死んだら何もかもゲームオーバーなんだって! ・神童 瀬川春之助は誰もが認める神童だった。 将来は聖人となり、多くの人の魂を救いたい。そんな思いを抱き、春之助は学問に励んでいた。しかし、父は木綿問屋に30年間勤める一番番頭ではあったものの、大学まで進学させる財力はなかった。 それを不憫に思った校長が店主に口利きし、春之助は書生として下宿できることになった。 神童、天才、そうもてはやされ、自分でもそう信じていたが、それは同時にストレスでありプレッシャーでもあった。時には食欲が暴走し、時には店主の息子を叱責したり、いじめたりもした。勉強に集中できず、成績を心配することもあったが、それでも首席の座を譲ることはなかった。 そんなある日、自分の青白い肌を見たとき、あまりにも不健康に見え、運動を始めてみることにした。しかし、まったくできなかった。体育の授業では教師に馬鹿にされ、同級生たちに笑われる始末。さらに追い打ちをかけるように、顔にはニキビが次々とでき始めた。 ちょうどそのまえに、自分の顔の醜さに打ちひしがれたばかりだったのに、ニキビはそれを一層際立たせた。神童であり、天才であり、誰もが将来を有望視していた。自分でもそう信じていた。 しかし、ニキビはその誇りを打ち砕き、鋭敏で聡明な頭脳の輝きをも曇らせた。次第に倦怠感が募り、疲労が重なり、堕落という影が忍び寄る。 しかしある日、使いに出た先で芸者や半玉のあまりの美しさを目にし、彼は戦慄した。 *ここから抜粋 己は子供の時分に己惚れていたような純潔無垢な人間ではない。己は決して自分の中に宗教家的、もしくは哲学者的の素質を持っている人間ではない。己がそのような性格に見えたのは、とにかく一種の天才があって外の子供よりも凡べての方面に理解が著しく発達していた結果に過ぎない。己は禅僧のような枯淡な禁欲生活を送るにはあんまり意地が弱過ぎる。あんまり感性が鋭過ぎる。恐らく己は霊魂の不滅を説くよりも、人間の美を歌うために生まれて来た男に違いない。己はいまだに自分を凡人だと思うことは出来ぬ。己はどうしても天才を持っているような気がする。己が自分の本当の使命を自覚して、人間界の美を讃え、宴楽を歌えば、己の天才は真実の光を発揮するのだ」 そう思った時、春之助の前途には再び光明が輝き出したようであった。彼は明くる日から哲学の書類を我慢して通読するような愚かな真似をやめにした。彼は十一歳の小児の頃の趣味に返って、詩と芸術とに没頭すべく決心した。
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2024年12月7日、ECナビの「そりゃないぜ 珍獣先生」の問題で、意趣返しという言葉を知った。少年という作品に使われてるらしい。 「明日学校で―されると云う恐れがあるので」〈谷崎・少年〉
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※このレビューにはネタバレを含みます
◾︎刺青 耽美派と言われてイメージする作風そのもので,知識人のいう「純文学の味わい」とはかくなるかという印象を受けた. あるファッションモデルが服を着ることで魂をインストールするといった旨のことをどこかで書いていた気がするが,そういった描写をこんなにも艶かしく描けるものかと. ◾︎少年 個人的に最も谷崎らしいといった感想. 各々の描写は汚く,眉を顰めざるを得ないところが多々あるものの,流麗な文体ゆえに何故か美しさも感じる.生々しいのに,一枚薄布が張ってあるような感覚. 秀逸だと思うのは,最後に少年の姉が関係内に置いて覇権をとり,宛ら女王の振る舞いになり,少年らを蹂躙するシーンがあるのだが,直接的な性描写は用いられていないにも関わらず,艶かしく極めて性的. 「フェティシズム」とは耽美派を語る上で外せないキーワードだが,この独特な趣向こそフェティシズムそのものだと実感する.
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