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江戸の夢びらき

松井今朝子(著者)

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商品詳細

内容紹介
販売会社/発売会社 文藝春秋
発売年月日 2020/04/24
JAN 9784163911960

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商品レビュー

3.9

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2021/03/30
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江戸の夢びらき 著者:松井今朝子 発行:2020年4月25日 文藝春秋 初代市川團十郎の誕生と、二代目團十郎が一人前になっていく様子を描いた小説。「史実に基づいたフィクション」とことわりがあるので、細かいところは創作だが大まかには史実で、團十郎ならではの見得や十八番が生まれたいきさつなどがわかり、とても興味深かった。と同時に、実力ある直木賞作家が書いているだけに小説としてもとても楽しめる。さすがに少し難しい言葉も出てくるので辞書を引きたくなるところもあるが、近頃の安っぽい小説に馴らされている身としては心が豊かになれる作品。人気のほどがわかる。 團十郎は、もともと段十郎だった。江戸で大変な評判となり、出版の盛んな京での評判記で、「市河」「團十郎」と間違って書かれることがしばしばだった。しかし、数年後、病気で暫く休んだ復活の「顔見世」で改名しようと思い立ち、自ら市川團十郎にしたという。また、海老蔵というのは團十郎の幼名、つまり本名だった。もちろん、梨園に生まれたのではなく、任侠の親分の兄弟分の倅で、歌舞伎とはまるで無縁だった。父親は額に刀傷のある男で、「物乞い同然の虚無僧暮らしをした過去もありそう」と表現されている。歌舞伎役者は被差別部落と関係が深いが、出自についてはそのような表現にとどめている。 物語は、初代團十郎の妻で二代目の母親である恵以(えい)の視点で語られていく。恵以は男手一つで育てられた。父親は牢人の身だが文武両道に秀で、娘も芝居好きで人形浄瑠璃や歌舞伎に少女の頃から通う。海老蔵の母親も好きで、2人は歌舞伎仲間でもあった。海老蔵も試しに舞台に上がってみろと言われ、上がってみるとこれが無茶苦茶。自分勝手なことをして大暴れしたが、それが受けて一躍人気者に。再び舞台に上がり、子役の歌舞伎役者となっていった。そして、恵以との縁談話が持ち上がって夫婦に。 片手を下に、もう一方の手を上に上げる「元禄見得」は初代團十郎が苦労して作り上げたものと言われているが、上記初舞台で、客が騒いで三味線の音が聞こえなかったために、黙れ鎮まれといわんばかりにその姿勢を海老蔵が取る場面がある。創作かもしれないが、なかなか面白い話だ。なお、市川段十郎という芸名は、海老蔵親子が下総から江戸に出てくるときに市川の渡し場で船に乗ったのを一緒にいた兄貴分の十右衛門が覚えていて、自分の十を加え、段々いい役者になってくれるようにと、彼が命名した。 十八番のひとつ「暫」の原型が出来た瞬間、「しばらーく」という声が繰り返されるばかりでなかなか登場しない團十郎の様子や、荒事の立ち回りは恵以の父親から手ほどきを受けたものであるという秘話、團十郎が上方に行き、当代一の坂田藤十郎に面会して感想を聞くと静かな口調で辛辣に芸を批判される場面などなど、興味深い解説や場面が物語りの1シーンとして鮮やかに描き出されている。 しかし、大奥につかえる江島と、團十郎と同じ山村座の生島新五郎が密会を疑われ(江島事件)、そのとばっちりを團十郎もくらってしまい、さらには二代目の時代に亨保の改革により芝居が禁止になるなど、ついに山村座が消えて江戸四座は三座になってしまう顚末も描かれている。 ******(メモ)****** 中沢新一は著書「大阪アースダイバー」で、吉本新喜劇の拠点であるNGKあたりが、以前は公開処刑場であり、少し北の道頓堀にならぶ芝居小屋よりもこちらの方が人気があった、つまり人がリアルに殺される瞬間を見届けることが最大のエンターテイメントだったと解説している。この「江戸の夢びらき」でも、團十郎が日本橋でさらし首を見たとき、人が大勢集まっている様子について、「眼は閉じたまんまで、見てそう面白いもんでもねえ。それで、あんな大勢の人を呼ぶんだからなあ。やっばり本物には勝てねえってことか……」とつぶやく場面があった。とても印象的。 なかなか子ができない團十郎と恵以は、成田山不動に参るとすぐ子宝に恵まれた。それにちなんで「成田屋っ!」の声がかかるようになった。そして、生まれた九蔵(後の二代目)と初代が共演した「兵根元曽我」が大当たりし、幕切れで親子が不動明王に扮すると、本物らしく見えたので客席から賽銭が投げられた。成田屋の屋号と投げ銭が誕生した。 隈取りは、二代目團十郎が大和絵でまなんだ手法を化粧に応用して編み出したもの。

Posted by ブクログ

2020/10/16

修行僧の土中入定(生き埋め)という衝撃的な場面の冒頭。その場で出会った少年と少女・・後の市川團十郎と、その妻・恵以の生涯を描いた作品です。 海老蔵少年が、役者・市川團十郎となり“江戸随市川”と呼ばれるほどのカリスマ的人気を得る過程や、「荒事の開山」と呼ばれる所以、成田山新勝寺との...

修行僧の土中入定(生き埋め)という衝撃的な場面の冒頭。その場で出会った少年と少女・・後の市川團十郎と、その妻・恵以の生涯を描いた作品です。 海老蔵少年が、役者・市川團十郎となり“江戸随市川”と呼ばれるほどのカリスマ的人気を得る過程や、「荒事の開山」と呼ばれる所以、成田山新勝寺との深い縁なども綴られていて、さすが歌舞伎に造詣が深い松井さんならではですね。 時代的には、五代将軍から六代将軍の間という、江戸史上でもトップクラスの色々ありすぎた時代で、“生類憐みの令”“赤穂浪士討ち入り事件”“元禄大地震と宝永富士山噴火”“江島生島事件”等々・・・。 このような大変な時代だからこそ、天災やお上からの粛清にも負けず、芝居というものに江戸市民が熱狂し、その伝統が脈々と受け継がれて今日まで続いているのだなぁと感嘆の想いでした。

Posted by ブクログ

2020/08/31

歌舞伎好きにはもちろん歌舞伎を知らない人でも楽しめると思う。 團十郎はどことなく今の海老蔵さんのイメージかなと思いながら読みました。 市川團十郎がどのようにして誕生したのか、伝統芸能がどうやって後世に引き継がれていくのか。 幼少時代から青年期、そして息子たちの世代に引き継がれて...

歌舞伎好きにはもちろん歌舞伎を知らない人でも楽しめると思う。 團十郎はどことなく今の海老蔵さんのイメージかなと思いながら読みました。 市川團十郎がどのようにして誕生したのか、伝統芸能がどうやって後世に引き継がれていくのか。 幼少時代から青年期、そして息子たちの世代に引き継がれていくまでが團十郎の妻の立場を中心に描かれていて、最後まで読み終わったときには壮大な物語を読み終わったという、疲れにも似たなんとも言えない満足感があった。 ただ、3人称で書かれているが、團十郎目線で書かれているところと妻目線で書かれているところが場面ごとに変わるので、少々読みにくかった。 特に中盤はコロコロ変わるので、今誰目線なんだっけ?とたまに遡ってよくよく読み直さねばならなかった。 私は飛ばし読みというか流して読むことがあるので、そういう読み方をする人は注意した方がいいかも。 坂田藤十郎と團十郎の対面シーンは決して派手な場面ではなくむしろ静謐さが漂っているにも関わらず、じわじわと迫る迫力のようなものが感じられてすごく印象的だった。 あとは、團十郎の妻が最後に幼少期を懐かしんで時代の移り変わりを感じる場面も、この大きな物語の締めくくりとして読み手にとっても感慨深いものがあった。

Posted by ブクログ

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