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美しい距離 文春文庫
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商品詳細
内容紹介 | |
---|---|
販売会社/発売会社 | 文藝春秋 |
発売年月日 | 2020/01/04 |
JAN | 9784167914264 |
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商品レビュー
4
57件のお客様レビュー
ガンと死についてではなく、死ぬまでは(病気じゃなくても)生きていて、人と関わることが書かれている。人と人との距離って難しいね。夫の心の狭さ、めちゃくちゃ共感。みんな自分が大好きだし、自分の価値観が正しくてそこから発生するストーリーに、他人のことを嵌め込める。悪意はない。それに、ん...
ガンと死についてではなく、死ぬまでは(病気じゃなくても)生きていて、人と関わることが書かれている。人と人との距離って難しいね。夫の心の狭さ、めちゃくちゃ共感。みんな自分が大好きだし、自分の価値観が正しくてそこから発生するストーリーに、他人のことを嵌め込める。悪意はない。それに、ん?と違和感を覚える感じ。で、いちいち争わず、飲み込んだりやり過ごす感じ、わかるわ〜と思いながら読む。
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夫婦の心の距離の取り方がまさに美しい距離 “カウントダウンの始まった人にだけ余命という言葉を当てはめ、始まっていない人との間に線を引きたがる。医師から余命を宣告された人だけが死と向き合っていて、そうではない人は生と向き合っていきている”
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- ネタバレ
※このレビューにはネタバレを含みます
タイトルがいいな。 40代で癌を患って人生の終わりに向かっていく夫婦の物語。夫目線で、弱っていく妻を見ている。さらりとしていて、病室に「きたよ」「きたな」とやりとりしながら入っていく。妻がどう考えているか、胸の内で憶測しながら、もちろん会話も重ねながら日々が過ぎていく。 主人公の男性は、自分で自分を「心が狭いからいらいらしてしまう」と分析している。医師の一言やしぐさ、介護認定員の職員のおせっかい、見舞いの人の態度にいちいち傷ついたり、怒りを覚えたりする。妻を気遣い、「ちょっと…いやな思いしただろ?」と聞くと「え?いい人だったよ?」と返ってきたりして、「あぁ、自分の心が狭いからいらいらしてしまうんだ…」と感じる。 こういうところ、すごくすごく共感する。私も心が、というか、許容範囲が狭くて、そんな自分が嫌になることが多々ある。価値観が合わない、絶対に合いそうにない人たちと一緒に仕事しなくちゃいけないし、人を相手にする仕事だからどんな人も受け入れなきゃいけないんだけど、すごく拒否感感じたり、見下してしまったり(絶対ダメなのに)して、仕事に差しつかえることがある。 色々葛藤を抱えながら日々が過ぎていく。妻はだんだん弱っていく。 3つ病院を代わって、死に向かっていく。よくある闘病を描く小説やドラマなら、「一時帰宅しましょう」とか「思い出の場所に…」とかなることが多いけど、「家に帰りたいか?」と聞くにもすごく考えてしまってうまく聞けない。妻も家に帰りたいとか言わず、ただ静かに「今」を受け入れている。 最期の看取りのシーンはとても…なんというか、静かで、切なくて、でも淡々としていて、あとで主人公の夫が振り返るように、決してその「瞬間」が特別なものではなかった。人生は、どの瞬間も特別だし、病気にならなくたって、癌じゃなくたって、人は生まれたときから死に向かっていっている。 亡くなったあとの、妻の夢や、妻が遠くなっていくけど、その距離も美しいと感じる心持ちも、とても素敵だと思った。死をどうとらえるか、心に響きました。 ナオコーラさん、また読みたいと思います。
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