50歳までプロ野球の現役を続けた山本マサ氏。 しかしセカンドキャリアへの挑戦は、他の引退後の 選手と何も変わらないです。 ただその挑戦をリキまず、何事も初心者であることの 謙虚な姿勢を忘れず取り組む姿勢には、学ぶべきこと 多いと気づかされる一冊です。 元「プロ」の人でもそうなのだ。 我々一般人はもっと謙虚に日々学ぶべきと思います。

あとがきのあと「笑顔の習慣34」　山本昌氏 「子供みたい」と言われたい 2018/5/26付日本経済新聞　朝刊 　2015年。32年に及ぶ現役生活にピリオドを打った。元プロ野球選手としては遅まきながら、50歳にして第二の人生を開始、野球解説と講演会講師の仕事を柱に２年余りが過ぎた。 　野球から離れる不安しかなかったが、失敗を繰り返しながらもトレードマークである笑顔を絶やしていないことに気付いた。「全てが初体験なのに何とかやっていけてる。これまでの経験は、これからセカンドキャリアを迎える人のヒントになるかもしれない」。そんな思いで筆をとった。 　３度の最多勝。最年長ノーヒットノーラン。史上24人目の通算200勝。結果を見るとエリートコースを歩んできたように見えるかもしれない。しかし、入団当初は結果を残せず、リストラ候補に挙げられるほどパッとしない投手だった。そんな危機を乗り越えさせてくれた人との出会いや現役時代の思い出などを、背番号と同じ34のエピソードでつづった。 　中でも趣味を超越した趣味であるラジオコントロールカーには特別な思いがある。２年連続で最多勝に輝いた翌年。わずか２勝と成績が落ち込み、左肘、左膝を故障。リハビリ期間中、気分転換のつもりでサーキットに立ち寄ったときのことだ。 　愛好者がコンマ１秒短縮するためにマシンを改良する姿に感動した。「アマチュアである彼らと違い、ぼくはプロなのに野球と真剣に向き合っているのかと自問自答した」。異なる世界の一流を知ったことで、正真正銘のプロの覚悟を持つことができたのだ。 　「趣味が多くていいですね」とよく言われる。でも、誰もが子供の頃は、ゲームでもスポーツでも夢中になって打ち込んだはず。「大人になると経験や常識に縛られて抑制的に振る舞うけれど、すてきな人って、楽しそうで生き生きしていてどこか子供っぽい。ぼくは『子供みたいだね』って言われ続けたい」。笑顔は生涯現役。その秘訣はこの心構えにありそうだ。（内外出版社・1400円） 　（やまもと・まさ）1965年神奈川県茅ケ崎市出身。84年中日ドラゴンズに投手で入団。2015年、史上初の50歳で登板を果たした。現在は野球解説者として活動。