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草のつるぎ 一滴の夏 野呂邦暢作品集 講談社文芸文庫ワイド

野呂邦暢(著者)

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商品詳細

内容紹介
販売会社/発売会社 講談社
発売年月日 2016/03/14
JAN 9784062955003

草のつるぎ 一滴の夏

¥1,375

商品レビュー

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2020/10/28

「狙撃手」 自衛隊の話 自らを完璧に律してきたはずの狙撃手が 競技会で最後の一発にのぞむさい なぜかとつぜん、標的を外したい気分になってしまう 三島由紀夫のいう「認識」が 行動する他者としての肉体に反発しているのかもしれない 「白桃」 敗戦からまもないころ 父のいいつけでカネを...

「狙撃手」 自衛隊の話 自らを完璧に律してきたはずの狙撃手が 競技会で最後の一発にのぞむさい なぜかとつぜん、標的を外したい気分になってしまう 三島由紀夫のいう「認識」が 行動する他者としての肉体に反発しているのかもしれない 「白桃」 敗戦からまもないころ 父のいいつけでカネを受け取りに行かされる兄弟の話 訪問先でいい子ぶってるつもりか 兄は、出された桃に手をつけることを許さず 弟の反感をかう イメージの鮮やかさはないものの 教養小説的な手続きによって 父親の世界から疎外された自分を発見する筋書きは 技術的に、三島「青の時代」から一歩先へと進んだものだ 「日が沈むのを」 男に捨てられて自殺未遂をおこし 復帰した職場では、組合から吊し上げを食らってしまった そういう女 自然の美を前に、仙境へ入る手前で足踏みしている 「草のつるぎ」 自分のなかの認識を憎んでいた男が 自衛隊の訓練を通じて、それも幻にすぎぬと知り 仲間たちと打ち解けていく 昭和48年 三島事件から3年後の芥川賞受賞作だ 「太陽と鉄」が結局は三島個人の観念へと収斂していくのに対し しょせんそんなもの先入観へのこだわりにすぎぬと 喝破するようなところはあるものの メカニズムとしては宗教的セミナーに似ている 「一滴の夏」 自衛隊を辞め、故郷の諫早に帰ってきた主人公が 仕事もしないで毎日ぶらぶら過ごすだけの話 「草のつるぎ」の続編と見るべきだろう 毎日ぶらぶらして昔の思い出をさかのぼってみれば 確かに輝く時代もあったけれど そこに人生の目的となるようなものはなにひとつない かつて住んでた長崎も、原爆からすっかり立ち直ったようで ただ 自分の見たものを文字で書き起こしているときだけは 世界を手にする実感が得られた

Posted by ブクログ

2016/11/13

全体的に“何かが無い”感じに物凄く浸されています。それを抱えて重たい自分を引きずり歩くうち、その感覚がスコーンと裏返り、“何者でもない”ことを悟った瞬間の、抜けるような透明感ときらめき。野呂邦暢は書かなくてはならなかったから書いたのだと、ひしひしと感じる作品です。

Posted by ブクログ

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