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サイロ・エフェクト 高度専門化社会の罠

ジリアン・テット(著者), 土方奈美(訳者)

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商品詳細

内容紹介
販売会社/発売会社 文藝春秋
発売年月日 2016/02/24
JAN 9784163903897

サイロ・エフェクト 高度専門化社会の罠

¥385

商品レビュー

4

56件のお客様レビュー

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2024/03/24
  • ネタバレ

※このレビューにはネタバレを含みます

著者がジャーナリストということもあり文章は読みやすく、内容は面白いし興味深い。 経済についての例ばかりなので投資信託へ預けるのが怖くなるくらい。 サイロエフェクトの定義も(明記されているわけではないが)整理できてよかった。思っていたよりも広い意味があり、思っているものとは別の因子も含んだ概念だった。 ただ、著者自身(人類学者)にサイロイフェクトが働いていることには気づいているのだろうか? 本文中の随所で、著者は誇らしげに社会学的な視点を何度も示すが、社会学者でなくとも、その分野で異端の考えや大きな視点を持っていれば組織のサイロに気づいている者はいる。自分もそうなので、これは断言できる。 サイロエフェクトに対する解決策を提示できるのならば社会学者が優位だが、解決編でも事例を挙げているだけのようであることを見ると、他分野の"気づいている"人と大差ないのではないかと思える。 社会学者特有のサイロ(例えば「サイロは社会学者にしか気づけない」「社会学者ならばサイロに必ず気づける」のような優越的な考え)に気づけなければ、今後落とし穴がありそうな感じを受ける。 これは著者が社会学に対して何らかのコンプレックスを持っている(;数式に対するアレルギーや研究者としてやっていけなかったかのように見える部分から)だけかもしれないが。 私はサイロエフェクトを「(専門性が先鋭化すると)水平方向の知識の行き来がなくなること」であると考えていたが、本書を読み進めていくうちに「社会的沈黙(=踊らない者に気づかない)」の重要さも理解できた。 ただし、どちらの概念も明確に認識しており、本書で知識の整理は出来たがはじめて知った概念はなかった。 私の周りでも、意図して知識を収集しなければ「水平方向への知識の伝播」はすぐに失われる。「社会的沈黙」としては多くの人が"問題(欠陥)の存在を認識していない"こととしてよくぶち当たった。この問題は学問分野が深化し良い教科書が増えた(=分類が固まった)から生じているサイロエフェクトの一種だとも思える。 本書を読むまではサイロの影響とは思っていなかったが、サイロエフェクトを「物事を分類することによって生じる、不都合(あるいは特異)な現象」と定義するなら納得がいく。 また、訳者の言葉の部分は駄文なので読む価値がない。本文の内容を要約しただけの本当に何の価値もない文章。翻訳の苦労とか、経済学用語のうんちくでも入れてくれるならいいが、アレなら半ページで謝辞でも書いておく方がよっぽどいい。訳は良かったように感じるので残念。

Posted by ブクログ

2023/07/19
  • ネタバレ

※このレビューにはネタバレを含みます

FTアメリカ版編集長の経歴を持つジリアン・テット氏による著作。 自身は文化人類学の経歴を持つ異色の金融ジャーナリストとして活躍されていた。 タイトルにもある「サイロ」とは、組織に縦割り文化が蔓延し、組織がまるでサイロのような構造になっている事を表している。個別最適化が極度に進みすぎ、局所的にも見れば問題ない事象でも、会社や自治体という大きな組織の枠組みから見ると、非常にリスクのある状態に陥ってしまい、ある時そのリスクが表面化して大きな問題に繋がることを「サイロ・エフェクト」と表現していると理解した。 第一章は、文化人類学が何故組織のサイロを炙り出すのに有効かを、文化人類学の歴史も交えながら解説している。今日の文化人類学の形成に大きな影響を与えた、「ピエール・ブルデュー」の半生を紹介すると共に、「インサイダー兼アウトサイダー」として観察対象の生活に溶け込み、客観的な目で「なぜそのような文化形成となるのか?」という文化人類学の考え方が、いかにサイロの炙り出しに効果的かを解説している。 第二章~第八章までは、サイロの形成が会社の発展を阻んだ事例や、逆にサイロ化することのリスクを認識し、サイロ化を防ぐあらゆる手法を取り入れた会社や病院の取り組みを解説している。ウォークマンの祖であるソニーがサイロ・エフェクトによりアップルに惨敗した事例は日本人として非常に興味深かった。惨敗は避けられたのかと言われると、多分無理であったのだろう。 終章では、これまでの事例のポイントを整理しつつ、「サイロ」は効率的な組織の運営に必要であるものの、弊害も大きい事から一人一人が「サイロ・エフェクト」を意識しながら考える事が大事であることを示唆している。 事例紹介が多く、ノウハウ的な要素は少ないが、自身の所属する組織を振り返り、「サイロ」が構築されていないか、また「サイロ・エフェクト」が起きるリスクはないだろうか、と考えるきっかけにはなる本であると思う。著者の経歴上、金融機関の話が多く、金融用語が多発するので、不慣れな人は少し読みにくさを感じるかもしれない。文化人類学の考え方を自身にインストールするには、並大抵の努力では到達できないと思うが、「こういう考え方もある」という理解ができたのは収穫だ。 正直、自らサイロを打ち破り会社全体の利益を考えて動く、というのは多くの個人・組織にとってインセンティブが働かないので、組織文化として浸透するのは簡単ではないと思われる(社長やら役員は別だが)。日本の伝統的な企業でも「縦割り打破」というスローガンの元、様々な施策が実施されているが、組織文化にまで影響を与える施策を打つのは相当難しい。なんとなくだが、人の努力に依存した施策が多く、モチベーション切れや組織改編により自然消滅するパターンが多いため、著作で紹介されていたFacebookやクリーブランド・クリニックのように、建物自体がサイロ形成を防ぐような施策の方が上手く行くのかも知れない、と思った。 個人レベルで、サイロを打ち破れる人材を目指すなら、思い切って異なる文化や業界に飛び込むのも効果的だろう。生活面でも普段交わらないような人に自分から積極的にコミュニケーションを取るよう意識してみたい。イギリスの小説家である「カズオ・イシグロ」が異文化交流として「縦の旅行」が大事と表現されていたのを思い出した。海外旅行に行って自分と似たような境遇の人と交流しても、それは「横の旅行」であり、それだけで異文化交流した気になるのは片手落ちだよ、という論説だったと記憶している。

Posted by ブクログ

2023/05/07

大変示唆に富んだ内容で最後まで興味深く読めた。サイロの問題については日々悩んでいる最中であり、いくつかの重要なヒントがもらえたと思う。 高度に専門化した優秀な人材の集まりであるはずの組織が、外から見たらおかしいとすぐに分かるようなことに気付けずチャンスを逃したり、大変なリスクを...

大変示唆に富んだ内容で最後まで興味深く読めた。サイロの問題については日々悩んでいる最中であり、いくつかの重要なヒントがもらえたと思う。 高度に専門化した優秀な人材の集まりであるはずの組織が、外から見たらおかしいとすぐに分かるようなことに気付けずチャンスを逃したり、大変なリスクを抱えてしまうことをサイロエフェクトと呼ぶ。この現象を著者は人類学の観点から紐解き、インサイダー兼アウトサイダーとなることがこれを打破するきっかけとなると示してくれている。 アウトサイダーの視点を手に入れるためには、居心地の良い場所(コンフォートゾーン)から出て新しい経験を積む必要がある。しかし、ある時は家庭、ある時は自部署、ある時は日本そのものがある種のコンフォートゾーンとなり、これを実行するのはなかなかに容易いことではない。 そのような場合でも、隣の部門に興味を持って会話してみたり(あるいはそうなり易いような仕掛けを作ってみたり)、顧客視点などの違う視点で物事を見たり、自分の属する世界の分類法をひっくり返して見てみたりすることでサイロを打破するきっかけとなり得る。 とはいえ難しいのは、ただ交流の機会を設けるだけだとそれだけで終わってしまう。偶発的なステキ効果を期待するのであればプラスαでハッカソンのような何らかの工夫が必要だし、誰かにサイロを破壊してもらうのではなく、「そういう取り組みが必要だよね」というサイロ内の個々人の意識や風土も醸成されなければならなさそうだ。それが分かってはいるけど難しい部分で、でもそれを考え続けることでしか先が見えない気もする。 イノベーションは境界の曖昧なところで起きる、と言われるように、コンフォートゾーンを飛び出した先に何かが待っているかもしれない、と期待を持たせてくれる本だった。また読み直す。

Posted by ブクログ

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