1,800円以上の注文で送料無料

  • 中古
  • 店舗受取可
  • 書籍
  • 書籍

暴力的風景論 新潮選書

武田徹(著者)

追加する に追加する

定価 ¥1,320

¥220 定価より1,100円(83%)おトク

獲得ポイント2P

在庫わずか ご注文はお早めに

発送時期 1~5日以内に発送

店舗受取サービス対応商品

店舗受取なら1点でも送料無料!

店舗到着予定

6/9(日)~6/14(金)

商品詳細

内容紹介
販売会社/発売会社 新潮社
発売年月日 2014/05/23
JAN 9784106037498

店舗受取サービス
対応商品

店舗受取なら1点でも送料無料!
さらにお買い物で使えるポイントがたまる

店舗到着予定

6/9(日)~6/14(金)

暴力的風景論

¥220

在庫わずか
ご注文はお早めに

カートに追加するカートにいれる

商品レビュー

3.8

4件のお客様レビュー

レビューを投稿

2021/07/19

わたしたちはしばしば同じ風景を目にしながら違うものを見ている。それは、風景が同じ構成物の集合である以上に、それぞれの主観において統一的な全体性・意味を提示するものであるからだ。 著者は、ジンメルや柄谷行人の風景論を引きながら、それぞれの「気分」や「世界観」を反映する虚構としての風...

わたしたちはしばしば同じ風景を目にしながら違うものを見ている。それは、風景が同じ構成物の集合である以上に、それぞれの主観において統一的な全体性・意味を提示するものであるからだ。 著者は、ジンメルや柄谷行人の風景論を引きながら、それぞれの「気分」や「世界観」を反映する虚構としての風景を唯一絶対の現実として取り違えることは暴力につながりかねないと指摘し、戦後史における暴力事件の「風景」をジャーナリズム的手法でたどろうとする。 日本を世界にただひとつのユニークかつ優れた「風土」をもつ空間として描いた和辻哲郎『風土論』はその問題性も含めてよく知られているが、冒頭で紹介されているのは、それよりもずっと早い1894年に刊行された志賀重昂(しげたか)の『日本風景論』だ。日清戦争に勝利し欧米諸国と肩を並べる国民国家となろうとしていた当時日本でベストセラーとなったこの本で、志賀は、それまで詩歌で称賛されてきた日本の名勝地ではなく、近代国家日本にとってよりふさわしいと考えられる日本の優れた風景を再発見し定義したという。その中心におかれたのが富士山であり、さらには富士山よりも標高が高い国後島や台湾の高山にまで「〇〇富士」という名前をあたえることで、心理的風景においては富士山を頂上とする「日本の風景」の中に階層的に配置していく操作を行っていたという。 さて本書第一部では、「戦後日本」というナショナルな「風景」の形成過程が、米軍基地とアメリカンカルチャーが満たす沖縄、連合赤軍事件が起きた長野の避暑地、田中角栄の日本列島改造論を通して論じられる。ややつまみ食い的になってしまうが、開発の遅れた「裏日本」という概念が早くも1900年代に登場していたこと、角栄の「日本列島改造論」が、同じ新潟出身の北一輝による「日本改造法案大綱」に影響を受けたものであったということも、本書で初めて知った。 さらに第二部においてはこのナショナルな戦後風景の暴力的解体を示唆する宮崎勉事件、オウム真理教事件、酒鬼薔薇聖斗事件、秋葉原殺傷事件の現場や、村上春樹の小説世界などがルポルタージュ的手法で論じられていくことになる。このあたりが評論家としては本領発揮ということになるのだろうが、こちらはあまりついていけず…暴力と風景の議論も正直あまり納得できる気はしなかったのですが、しかし歴史的事実に関してはいろいろ学ぶところ多い本ではありました。

Posted by ブクログ

2014/08/11

武田徹節ともいえるハイブリッド的な方法で描かれたノンフィクション+評論。沖縄、ノルウェイの森、田中角栄、宮崎勤などが取り上げられる。膨大な数の参考文献を引用し、風景を読み解いているが、もう少し見たままの描写が多い方がよかった。評論的な部分は、それぞれのテーマで書かれた本があるだけ...

武田徹節ともいえるハイブリッド的な方法で描かれたノンフィクション+評論。沖縄、ノルウェイの森、田中角栄、宮崎勤などが取り上げられる。膨大な数の参考文献を引用し、風景を読み解いているが、もう少し見たままの描写が多い方がよかった。評論的な部分は、それぞれのテーマで書かれた本があるだけに既視感があった。一冊をまとめるような加筆修正をもう少ししてもよかったような気がした。

Posted by ブクログ

2014/07/16

【風景の強要】 ここでいう風景とは、風光明媚な、なんていう風景、ということではない。あなたとわたしが同じところを眺めていても、それは同じようにはそれぞれの心に届くわけではない。何かの風景にイメージの統一を促すものは「気分」であり、「世界観」でもある。環世界といってもいいのかもし...

【風景の強要】 ここでいう風景とは、風光明媚な、なんていう風景、ということではない。あなたとわたしが同じところを眺めていても、それは同じようにはそれぞれの心に届くわけではない。何かの風景にイメージの統一を促すものは「気分」であり、「世界観」でもある。環世界といってもいいのかもしれない。そんな、それぞれにとって違う「風景」が、ときに暴力行為の源になる。だって、争いは自他の違いから生まれるものだから、見えている世界が違えば、そりゃあ争いになるだろう。問題は、その風景づくりに、ジャーナリズムも変な荷担をしていることだ。 8つの風景によって生まれた暴力的行為を描いている。たとえば沖縄という風景は立場によってまるで見え方が違う、アメリカによって書き換えられた国家のOSが描く日本最先端の風景ではないか。他にも日本列島改造論やら、ノルウェイの森やらと、風景の話はさまざまに展開する。 僕は環世界という言葉が好きである。本来生物の種ごとにことなる知覚世界を表現した言葉だけれど、ここでいう「風景」は、人間ごとに異なる環世界の話である。その言葉で、なんでも物分りよく理解したつもりになるのもまずいけど、とにかく誰にだって同じ風景は見えていないんだ。でも、これで本書の内容が説明できているわけでもない。自分に焦れるのである。

Posted by ブクログ

関連商品

最近チェックした商品