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闇の中の男

ポール・オースター(著者), 柴田元幸(訳者)

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商品詳細

内容紹介
販売会社/発売会社 新潮社
発売年月日 2014/05/30
JAN 9784105217174

闇の中の男

¥550

商品レビュー

3.8

31件のお客様レビュー

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2024/05/05

目が覚めるとそこには二つに分断された米国があった。 ひょっとしたら有り得たかもしれない米国分断記、これは凄い。内戦中の米国が舞台だが人々の会話に焦点が当てられ、どこまでも混沌としていく。 自分の読解力の無さ故に全て理解出来なかったが、当時よりも今の時代を言い当てていたように見える...

目が覚めるとそこには二つに分断された米国があった。 ひょっとしたら有り得たかもしれない米国分断記、これは凄い。内戦中の米国が舞台だが人々の会話に焦点が当てられ、どこまでも混沌としていく。 自分の読解力の無さ故に全て理解出来なかったが、当時よりも今の時代を言い当てていたように見える。

Posted by ブクログ

2023/08/28
  • ネタバレ

※このレビューにはネタバレを含みます

 ベタな作家の本を読めてないことはたくさんあり、そういうのをたまに読みたくなる。装丁が渋くて読んでみたら、やはりポール・オースターなのでしっかりオモシロかった。  元物書きの老人が夜眠ることができない中、思い出したくない過去や考えたくないことを振り切るために物語を創作するという設定からしてオモシロい。寝る前に限らず嫌な過去などが唐突に頭に去来して何とも言えない気持ちになることは往々にしてあると思う。それを乗り越える行動が物語の創作なんだ!という驚きがあった。  老人の創作した物語と老人、娘、孫娘の現実の話がクロスオーバーしつつ描かれていく。前者については一種のエンタメ小説になっていた。アメリカ国内で内戦が起こるパラレルワールドへ飛ばされた男の話でSF的な展開が好きだったし、メタ構造で創作している著者をブッ飛ばさないといけないアイロニーもいい。以下引用。 *私自身を物語に入れることで、物語は現実になる。さもなければ私も現実ではなくなる。私の想像力のもうひとつの産物にすぎなくなる。*  ただ個人的に好きだったのは後者の現実パート。三世代で娘、孫娘ともにパートナーが不在で3人暮らしという設定がとても新鮮で、彼らのコミュニケーションの様を読んでいるだけで癒された。ハイライトは老人と孫娘の会話だろう。前半の映画にまつわる議論、特に『東京物語』から見る近代化と親子関係という話はとても興味深かった。また後半、老人が亡き妻との関係を孫娘からの質問に回答していくシーンは結婚生活の酸いも甘いも含まれており思わず”That’s life.”とでも言いたくなるような内容だった。これとかグッときた。 *歳をとるにつれて、問題も減じていくように思えたんだ。でも三十五、三十八、四十、あのころはなんだか、自分の人生が本当に自分のものじゃない気がしていたんだ。自分が真に自分の中で生きてこなかったような、自分が一度も現実だったことがないような。現実ではないがゆえに、自分が他人に影響を及ぼす影響もわかっていなかった。自分が引き起こしうる傷も、私を愛してくれる人たちに自分が与えうる痛みもわからなかった。*  創作された物語だけでなく戦争が大きなテーマの作品になっている。孫娘のパートナーがイラク戦争に志願し悲惨な結末を迎えるところの描写は辛かった…その姿をしっかりと眼に焼き付けて闇の中に置き去りにしないという考え方にシビれた。あとがきを翻訳を務めた柴田元幸が書いており、そこでアメリカにおける911と^物語をめぐる話がありそちらも興味深かった。他の代表的な作品を全然読んでないことに気づいたのでグイグイ読んでいきたい。

Posted by ブクログ

2023/08/04

『写字室の旅』との対応は、現実と虚構の混合、交錯か。 何が現実で、何が虚構か。 あり得たかも知れない現実。私たちは絶え間ない分岐のたった一つの枝にいるに過ぎない。 圧倒的な悲しさによって呑み込まれた虚無。 物語があるだけに、その断絶は堪える。 他人は結局のところ、分から...

『写字室の旅』との対応は、現実と虚構の混合、交錯か。 何が現実で、何が虚構か。 あり得たかも知れない現実。私たちは絶え間ない分岐のたった一つの枝にいるに過ぎない。 圧倒的な悲しさによって呑み込まれた虚無。 物語があるだけに、その断絶は堪える。 他人は結局のところ、分からないのに、解釈し続けてしまう自分がいる。 戦争にロマンやドラマはない。 その点でオースターにしては珍しく、本作はアクチュアルだったな。

Posted by ブクログ

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