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南の島の魔法の話 講談社文庫
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商品詳細
内容紹介 | |
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販売会社/発売会社 | 講談社 |
発売年月日 | 1980/06/12 |
JAN | 9784061381100 |
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南の島の魔法の話
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南の島の魔法の話
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商品レビュー
4.8
6件のお客様レビュー
本を選んでいるとたまに勘が働く時があります。作者の名前も作品の評価も知らないのに、タイトルの雰囲気だけで、買ってみた本がめちゃくちゃハマるとき。そして読み終えた後「勝ったな」とほくそ笑むとき。 kindleのセール中に見つけた「南の島の魔法の話」の本もその一冊。児童文学には明る...
本を選んでいるとたまに勘が働く時があります。作者の名前も作品の評価も知らないのに、タイトルの雰囲気だけで、買ってみた本がめちゃくちゃハマるとき。そして読み終えた後「勝ったな」とほくそ笑むとき。 kindleのセール中に見つけた「南の島の魔法の話」の本もその一冊。児童文学には明るくないので、作品名はもちろんのこと安房直子さんの名前すら初見だったのですが、タイトルの雰囲気と、値段の安さにつられて購入しました。 ある日耳のお医者さんの元にやって来た小さな女の子。女の子は耳の中に大変なものが入ってしまったので取ってほしいという。お医者さんが何がはいったのか尋ねると、女の子は「ひみつなの」と答える。 お医者さんが事情を聞くと女の子は「けっしてきいてはいけないひみつを、たったいまきいてしまったんです。だからそれを、大いそぎでとりだしてほしいんです」と話し…… 冒頭に収録されている「鳥」の書き出し部分ですが、ひみつが耳の中に入ってしまった、という箇所を読んだ段階で、胸を打ち抜かれたというべきか、傑作の予感を感じたのを覚えています。 女の子が語る不思議な少年とのふれあいと、恐ろしい海女の企み。お医者さんが女の子の耳の中をのぞき込んだときに広がる光景。明らかになるある真実と、伏線の回収。 この年で児童文学の短編に対し、こんな気持ちになるなんて思ってもみませんでした。感動とか泣けるとか、そういうことではなく、こういうイマジネーションと「ひみつが耳のなかに入ってしまった」というメルヘンな表現があったことの衝撃と書くべきか…… この冒頭の短編だけで「勝ったな」だったので、あとの短編は連勝街道ひた走るのみ、だった気がします。 メルヘン的な想像力の広がりと幻想の美しさを特に楽しめたのは、表題作の「南の島と魔法の話」と「夕日の国」の二編。 「南の島と魔法の話」は翻訳家が主人公。『南の島と魔法の話』という物語の翻訳に四苦八苦する小沢さん。締め切りがとっくにすぎてしまった難解な翻訳に挑む小沢さんに聞こえてきたのは、物語のなかに登場するピアリピアリという妖精の声で…… 夢の中にいるような楽しくも、慌ただしく過ぎ去っていく物語。結末も理由にあると思うのですが、読み終えてみると、自分も妖精の楽しい悪戯に付き合わされ、気がつけば現実世界に戻ってきたような。そんな楽しく少しだけ寂しくもある、不思議な読後感に満たされます。 「夕日の国」は縄跳びを跳んでいる間だけ、夕日の国にいける子供達の話。 突然に広がるさばくと夕日の光景。寂しげに歩くラクダと、そのラクダがつけている鈴の音。そうしたものが見えてくるような、聞こえてくるような。そして別の世界にいつの間にか吸い込まれていくような、そんな感覚を覚えます。 夕日の光景と物語の展開がおりなすノスタルジックさや、切なさはもちろん、解釈が色々とありそうな結末も、また印象的な短編です。 「さんしょっ子」の切なさも忘れがたい。 さんしょうの木に住む女の子の妖精と、村の子供達の交流。村の子供達が成長していっても、さんしょっ子はある男の子のことに想いを抱いたままで…… 流れていく子どもだった時間と、伝えられなかった思い。そして伝わらなかったほのかな恋心を、短いストーリーの中に織り交ぜられていて、胸がキュンとなるような切なさがあります。だからこそ最後のわらべうたの文章が、遠いさんしょっ子の姿を浮かび上がらせて、より心に迫りました。 欲であったり、時間であったり、大人になった自分が読むと、教訓的に読める話もちらほらあるのですが、それを嫌みであったり、あるいは偉そうに感じさせない文章や、ストーリー展開、そして何より想像力がとにかく素敵でした。 そしてその想像力も、分かりやすい異世界への想像力ではなく、現実とどこか地続きに感じられる幻想・想像の世界を目指しているように思いました。そこに何か、想像力が豊かで、しょっちゅう空想の世界に入り浸っていた子供時代を呼び起こすものがあったような気がします。だからこそ、作品全体の空気感が心地よく感じたのかもしれません。 作品のトーンは切なさや怖さのあるものも多いのですが、一方で作品全体に通じる透明感や空気感、イマジネーションが素晴らしい短編集でした。
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中学受験が終わった後、塾の先生がくれた本。 先生が私に本当に教えたかったことは、こういうことだったのだ。
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中学生の時、国語の授業で読んだ『鳥』の話しが載っていた。恋なんて知らない自分だったけど、叶わない恋はなんて苦しいのだろう…と思ったよ
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