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虫樹音楽集

奥泉光【著】

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商品詳細

内容紹介
販売会社/発売会社 集英社
発売年月日 2012/11/05
JAN 9784087714715

虫樹音楽集

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商品レビュー

3.5

14件のお客様レビュー

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2017/06/07
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※このレビューにはネタバレを含みます

「もしあれが夢なのだとしたら、自分が記憶している過去のほとんどが夢と区別がつかなくなってしまう。」 カフカの『変身』をモチーフにしたミステリアスな公演を続け、精神に変調をきたしてシーンを去ったと言われるテナー奏者・イモナベをめぐる虚構と奇妙な現実。けれど、作家が「虚構」として描いたものはほんとうにただの作り話だったのか。 「地中のザムザ」ザムザテラネウスと名付けられた生物化石の発見。発見者のひとりである教授が傾倒した神秘主義的思想。すべての進化を司るのは言葉であり、その頂点にある宇宙語は昆虫にしかわからないものである。だから人間は昆虫の音楽を理解しなければならない。大学でこの思想に触れた「窓辺のザムザ」のフロントマン・ザムザは大学に伝わる虫樹を追い求める。 イモナベのバンドメンバーだったジャズピアノ奏者、謎の巨大虫、イモナベの子孫にあたる大学生のアルバイター、仕事先の海外で『変身』の舞台を見ることになる作家。それぞれの断章がどれも魔術的におもしろく、ただただ夢中になって読んだ。 記憶がふたしかなのか、ゴムチューブみたいに「熟成」された作品が事実を書き換えているのか、ザムザテラネウスとは何者なのか。無意識の部分で漏れ出た記憶が小説に姿を変えているのか。作家はだんだんと自分の小説をなぞるように行動するようになっていく。 あの巨大虫が彼の、血のつながった祖先やいろんなひとの音を聞いたうえで彼が鳴らしたサックスの音が呼び寄せたものだったらいいなあと思った。 ほんとうに魅力的な小説でした。

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2016/11/29

(収録作品)地中のザムザとは何者?/虫王伝/川辺のザムザ/菊池秀久「渡辺柾一論-虫愛づるテナーマン」について/特集「ニッポンのジャズマン200人」畝木真治/Metamorphosis/変身の書架/「川辺のザムザ」再説/虫樹譚

Posted by ブクログ

2013/03/13

デビュー作で衝撃を受け、ずっと追いかけているが、正直なところ最近の作品は私にはピンとこないものが多い。 本作品も、ジャズにはあまり興味がないし、カフカへのオマージュはおもしろいが、好みではなかった。宇宙オルガンくらいまではワクワクしながら読んだが、宇宙樹までいくと…という感じ。 ...

デビュー作で衝撃を受け、ずっと追いかけているが、正直なところ最近の作品は私にはピンとこないものが多い。 本作品も、ジャズにはあまり興味がないし、カフカへのオマージュはおもしろいが、好みではなかった。宇宙オルガンくらいまではワクワクしながら読んだが、宇宙樹までいくと…という感じ。 ちなみに、クワガタシリーズもダメ。芥川賞選考委員になり、自分にしか書けない世界を追い求めるうちに、鼻につくような作品が増えたように感じるのは、私の好みが変わったせいなのかな。

Posted by ブクログ

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