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三国志(第八巻) 文春文庫
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商品詳細
内容紹介 | |
---|---|
販売会社/発売会社 | 文藝春秋 |
発売年月日 | 2012/10/10 |
JAN | 9784167259280 |
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三国志(第八巻)
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商品レビュー
3.6
10件のお客様レビュー
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※このレビューにはネタバレを含みます
遂に曹操が死んでしまったが、その前に関羽。 一枚岩かと思われた劉備と関羽と張飛だけれども、諸葛亮が加わることによって亀裂が生じた。 諸葛亮が加わる前は、「国のために正義を尽くすぞ!」という一念で繋がっていた三人。 その正義は必ずしも後漢王朝のための正義ではなく、自分たちにとって都合の良い正義だったとしても、本人たちの心はまっすぐであった。 けれども、今の国のかたちが正義ではないのなら、正義の国を創ろうじゃないか。 そのためには人材が必要だ。 と、諸葛亮を加えたことで、目的のために手段を問わないことも出て来た。 詭弁をもって謀るようになったのだ。 それが、関羽には耐えられなかった。 諸葛亮を重用する劉備から少しずつ距離を置くようになった。 劉備も、同じだったのかもしれない。 関羽は無頼の徒であったとしても気性はまっすぐだったので、孫権の言動には実がないことに気づくのが遅れてしまった。 また、厳しすぎる関羽を憎んでいるものが身内にいることにも。 突然呉軍が背後を攻めた時、守り抜いてくれるはずの味方がさっさと降伏してしまったことも、単独行動だった故援軍を頼むことができなかったことも、関羽には想定外だっただろう。 でも、それは関羽が蒔いた種ともいえる。 それでも最後の関羽の戦いっぷりを、誰も非難することなどできないだろう。 曹操が亡くなり、曹丕が後を継いだと思ったら、献帝からの禅譲の話。 曹操・曹丕親子が献帝に無理やり禅譲を迫ったと今まで聞かされていたが、この本によると(つまり史実によると)献帝からの申し入れ。 そして何度も断る曹丕。 思うに、このタイミングでの禅譲ということは、曹操にも過去に持ち掛けていたのではないかと思われる。 けれど曹操が相当はっきりときっぱりと、半ば脅すように断ったのではないかな。 「私を逆賊にするつもりか!」くらいな事を言って。 で、曹操がいなくなったタイミングで曹丕に禅譲。 だって、勧める、断る、勧める、断るのやりとりは、いわばお約束のはず。 そういう三文芝居みたいのは曹操が嫌うところのものだから、「二度と言うなよ!」くらいの強い言葉で断ったのではないかと。 さて、多くの臣が止めるのも聞かず、関羽の敵を討ちに呉に宣戦布告する劉備。 しかしやっぱり彼は戦下手なので、多くの犠牲を出しながら、仇も討てないという体たらく。 ”いわゆる礼儀をことごとくないがしろにしてきたがゆえに、帝位に昇るという最大の無礼を平然とおこなうことができたとはいえ、白帝城にとどまったまま、成都へ帰ろうとしない劉備に、いつもながらいさぎよさがみられない。” 国を治めることを中断してまで出兵して、負けたのに帰ってこない皇帝。 無責任にもほどがあるけれど、彼を選んだのは蜀の民だからね。しょうがない。 関羽を失うことでそれほど意気消沈するのであれば、なぜ彼を一人取り残していたのか。 家族すらあっさり見捨てる劉備が、唯一失いたくなかったのが関羽と張飛という事か…とも思ったけど、一度関羽を見捨てて逃げたよね。 やっぱり劉備ってよくわからない。 魏の皇帝となった曹丕についても思ったことはいろいろあるけれど、それは次の巻にでも。 覚えていれば。
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曹丕が夏侯尚の愛妾を殺して廃人にする腹黒エピソードが載っている。 途中まで読んで長らく放置してたので内容は忘れたが関羽が陸遜のやり方を腹黒いと憤るシーンもあった。 魏蜀との関係を慎重に図る孫権も狡猾。 そう思うと曹操ってやっぱすごかったな。 劉備はまあ……
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曹操と劉備、二つの巨星は落ちた。 劉備、関羽、張飛の三義兄弟の死のきっかけは、明らかに関羽の北伐にある。秋の霖雨を利用して関羽が魏に対する北伐を強行し、魏に通じた呉が関羽の背後を襲い、関羽が死に、正気を喪った張飛と劉備が復讐に及ぶも失敗し、結局死に至る。一連の流れは蜀という新興...
曹操と劉備、二つの巨星は落ちた。 劉備、関羽、張飛の三義兄弟の死のきっかけは、明らかに関羽の北伐にある。秋の霖雨を利用して関羽が魏に対する北伐を強行し、魏に通じた呉が関羽の背後を襲い、関羽が死に、正気を喪った張飛と劉備が復讐に及ぶも失敗し、結局死に至る。一連の流れは蜀という新興国の統制の無さ、と捉えるのが妥当だと思うが、卑しくも背後を襲った呉に対する憤りを前面に出せば、三国志演義のように見方が変わってくる。 思えば、正史三国志には「桃園の契り」のシーンは出てこない。これが羅漢中の創作なのだとすると、この三人を義兄弟と描いたのは、三人の死に様から得た着想なのではないか、と思ってしまう。 とまれ、後漢末の混乱を駆け抜けて曲りなりにも新秩序を構築しようとしてきた創業者世代は世を去った。三国の相克を乗り越えて平和な治世を取り戻せるのかどうかは、曹丕や諸葛亮など第二世代の力量にかかっている。
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