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沈んだ世界 創元SF文庫

J.G.バラード(著者), 峰岸久(著者)

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商品詳細

内容紹介
販売会社/発売会社 東京創元社
発売年月日 1968/02/10
JAN 9784488629014

沈んだ世界

¥715

商品レビュー

2.8

7件のお客様レビュー

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2021/08/23

気候変動により気温と水位が上がった世界になっている。住民はほとんどいず、わずかに残った研究員達がいたが、引き上げるという決定に反し主人公ケランズら3人は残る。やがて略奪隊が来て混乱の状態になるが、なおもケランズは水にとりつかれ、シダとワニと水の世界に向かう。 「結晶世界」「旱魃...

気候変動により気温と水位が上がった世界になっている。住民はほとんどいず、わずかに残った研究員達がいたが、引き上げるという決定に反し主人公ケランズら3人は残る。やがて略奪隊が来て混乱の状態になるが、なおもケランズは水にとりつかれ、シダとワニと水の世界に向かう。 「結晶世界」「旱魃世界」そして「沈んだ世界」と発表とは逆の順で読んでしまったが、この暑い濁った水の世界はバラードの育った上海租界にちがいなく、ケランズが脱出しないのもバラードが上海にまだ囚われているのを示している気がした。自伝では租界を忘れるのに20年、思い出すのに20年かかった、と言っており、この「沈んだ世界」発表の1962年は終戦から18年、疎開の記憶の区切りをつけるために書いたのか?という気もする。 熱帯と化した混沌の町で暮らし、なおも水にさまよい出る様は、ちょっと「地獄の黙示録」のカーツ大佐のジャングル奥の基地を思い出した。「闇の奥」も読んでみようかと思う。 主人公のケランズは40才で生物学試験所所員。回りは水に浸されホテルの上階で生活している。水の中にはワニが、階段にはイグアナがいる。読み進むとホテルの名はリッツ、場所はロンドンだとわかる。水深く埋もれたビル、水中の浮遊物などを想像しながら読む。 ケランズはグリーンランドの基地の街で生まれ育ち生態学調査団に参加して南へやってきた。同僚の25才年上のホドキン博士はまだ水のない生活を知っているが、ほとんどの者は町での生活を知らず、そういう町でさえ巨大な堤防で包囲され、恐怖と絶望で崩壊してい行く状態だった。 「旱魃世界」でもタンギーの絵が出てきたが、ここでも ケランズとともに残っている女性の部屋にはデルボーの絵とエルンストの絵がかかっている。水にあふれた人気のない街をさまようケランズたちの姿をデルボーの絵になぞらえている。また熱帯植物にとってかわられた街をエルンストの描いたジャングルの眺めと似ていると書いている。 「沈んだ世界」になるに至った部分がいわゆるSFらしくて読んでておもしろいところ。「沈んだ世界」での生活は終末世界で生きる主人公ケランズの内的世界。なんだか今のコロナの巣ごもり生活と同じじゃないか、などとも感じた。 気候変動は今から6、70年前に最初の兆候が現れ、太陽の不安定さが原因でバンアレン帯が拡大し太陽の輻射熱が直接あたり、年に2,3度ずつ気温が上がり全住民は北か南に移動した。両極の氷は溶け、水に浸った泥を押しだすことでイギリスとフランスは再び陸続きになった。 次の30年間は極地へ向かう人口移動が続き、水位と気温の上昇に防壁を作って抵抗した都市も次々陥落し、高地は気温は涼しいが大気が薄いため放棄されていた。 人間を含め哺乳類は増殖ができず、水に適応した両生類の天下となった。両極に住む人口はせいぜい500万足らずになった。 1962発表 1968.2.16初版 1982.1.8第14版 図書館 (表紙イラストは金子三蔵氏のもの)

Posted by ブクログ

2021/02/07

SF。終末。冒険。 バラードお馴染みの、内宇宙を濃密に描いた作品…なのでしょうか? ハッキリと読みづらいし、ストーリーも決して面白くはない。 それでも、地球の終末の世界観は非常に興味深い。 登場人物の行動の意味を想像するのも一つの楽しみ方か。様々な考察ができそう。 決して退屈なだ...

SF。終末。冒険。 バラードお馴染みの、内宇宙を濃密に描いた作品…なのでしょうか? ハッキリと読みづらいし、ストーリーも決して面白くはない。 それでも、地球の終末の世界観は非常に興味深い。 登場人物の行動の意味を想像するのも一つの楽しみ方か。様々な考察ができそう。 決して退屈なだけの作品ではないです。

Posted by ブクログ

2017/04/03

本作を楽しめるかは、ストーリー展開やキャラクター設定などよりも、作者が幻視する世界を楽しめるかによるところが大きいでしょう。個人的には、描かれている世界を脳内で映像化することが容易ではなく、楽しんだとは言い難いです。 本作が描くのは地球温暖化による沈んだ世界、すなわち水没した世...

本作を楽しめるかは、ストーリー展開やキャラクター設定などよりも、作者が幻視する世界を楽しめるかによるところが大きいでしょう。個人的には、描かれている世界を脳内で映像化することが容易ではなく、楽しんだとは言い難いです。 本作が描くのは地球温暖化による沈んだ世界、すなわち水没した世界。似たような設定であれば、同じ1960年代に書かれたカート・ヴォネガット『猫のゆりかご』やアンナ・カヴァン『氷』も挙げられるでしょう。氷結しつつある世界を描いた両作は、地球寒冷化を幻視したまさに未来小説。

Posted by ブクログ

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