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カーテン 7部構成の小説論
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商品詳細
内容紹介 | |
---|---|
販売会社/発売会社 | 集英社 |
発売年月日 | 2005/10/31 |
JAN | 9784087734355 |
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商品レビュー
4.3
6件のお客様レビュー
クンデラの小説がなんでああなのかその前提にある気持ちととの源泉が何なのか書いてあるように思うんだけどむしろ作品を読んだ時に感じたものの方がずっといい感じだった気がする。それはこの小説論が悪いってんじゃなくて実作、小説の形でその論に輪郭を持たせてある方がずっといいという感じ。
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評論集ではあるが後書きにもある通り7部構成・主題の反復というその形式は小説的でもある。読者家としてのクンデラはラブレーやセルバンテの様な古典作家がいかにカーテン=紋切型の表象を切り裂き、喜劇によって世界がそうであるものと思われていた意味を剥ぎ取っていったのかを示していく。語りの通...
評論集ではあるが後書きにもある通り7部構成・主題の反復というその形式は小説的でもある。読者家としてのクンデラはラブレーやセルバンテの様な古典作家がいかにカーテン=紋切型の表象を切り裂き、喜劇によって世界がそうであるものと思われていた意味を剥ぎ取っていったのかを示していく。語りの通底として諦観が透けて見えるのは、いつになく直接的に示される亡命者としての悲しみに、滅びやすいものである芸術の歴史が重ね合わされているからだろうか。美しいものは決して不滅ではない、だからこそそれは語らなければならないものなのだ。
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- ネタバレ
※このレビューにはネタバレを含みます
ミラン・クンデラというと、作家として世界的に有名ですが、文学の読み手としても尊敬を集めているようです。そんな彼が小説とは何か、を古今の作家を例証しながらわかりやすく解説してくれます。 悲劇とは程遠い、偉大さの欠片もないドン・キホーテの凡庸な死に様に、『人生を理解することに努める』という、小説という芸術の存在理由を見出します。 アンナ・カレーニナの自殺、冗談みたいな状況に本当らしさをかぶせるカフカの長編小説、場面が叙述の陶酔した波のなかに溶かし込まれてしまう『百年の孤独』…。 近代の小説は予備解釈というカーテンを引き裂き、かつて言われたことのなかった散文的な人間の美を発見しつづけてきました。 しかし、芸術としての小説をとりまく社会環境は厳しい状況にあります。世界文学を利己的な専門家根性で地方に押しとどめてしまう大学のエゴや、抒情的・感動的なヴェールで人の在り方を覆い隠してしまうキッチュの蔓延、芸術の先行きについて著者は悲観的です。 日本に近代文学が根づいてまだ、100年ちょっと。もう文学の時代が終わってしまうと考えると寂しいですね。これからもずっと文学の旅が続くよう、願ってやみません。 文学評論だけに、ある程度予備知識があったほうが、クンデラの慧眼をより楽しむことができるでしょう。 本書で扱われていた小説を思いつくままにあげると セルバンテス『ドン・キホーテ』 ドストエフスキー『白痴』 トルストイ『アンナ・カレーニナ』 フロベール『ボヴァリー夫人』『感情教育』 カフカ『審判』『城』『火夫』 ブロッホ『夢遊の人々』 ムージル『特性のない男』 大江健三郎『人間の羊』 マルケス『百年の孤独』 などなど。 余談ですけど、クンデラのような国語の先生に教わりたかった(国語という言葉自体、世界文学の精神に反していますが…)。この本も高校の教科書で使えばいいのに。
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