『クラウド・コレクター手帖版』のあとがきを読んで、すぐさまこの本を古本で購入して、ぺらぺらとページをめくって、とてもわくわくした。 せっかくだからと、手帖版と比べながら読んだら、なるほど大幅に改訂している。とはいえ、ものがたりは同じで、違いは表現方法。 とにかく、写真が盛りだくさんで、一層、世界観が膨らむ。おもしろかった。 私は手帖版を先に読んだが、そのほうが想像ができて、後から写真付きのこの本を読むことによって、現実感が（いや、現実ではないのだけれど）増す気がするので、この順番で読んでよかったかなと思う。

きっかけ:クラフト・エヴィング商會の本を以前読んだことがあり、世界観が好き。今回読んでみてもやっぱり好き。ほかの作品も読んでみたい。 ・誰が師匠になるか分からない ・旅日記を読むと旅をしている気分になれる ・話に出てくる｢見えないオーケストラ｣はリモートでの合唱により可能になったと思う ・｢さかさまに降る雨｣のくだりが気になった

単行本では先代の傳次郎が蒐集した品々を綺麗な写真で見ることができ、アゾットの世界観に没入できます。どこからが嘘で、どこまでが本当なのか。何重にも重なったアゾットの謎が解けていくのが面白いです。読書中、ほんとに旅に出ているような、ふわふわした頭で霧の中を傳次郎の後を付いていくような不思議な読書体験。装丁も含めて、創作の面白さがとことん味わえる、久しぶりに手放したくなくなる本でした。アゾットのお酒でなくとも、ストロングゼロで忘却の果てに辿り着いた終着駅。帽子と財布を無くした過去を思い出して頭が痛いです。