これは凄い。凄すぎる。 トリックも非常にわかりやすく、さらにどんでん返しがある。唸らされる本であった。 小学四年生の芳雄がトイレ掃除当番で一緒になったのは、クラスメイトの鈴木太郎。 鈴木は自分のことを神様だと名乗る。 神様だからなんでも知っていて、天誅も与えられるわけで、猫殺しの犯人も、ダビレンジャーのスペシャルTシャツを着ていた英樹殺人事件の犯人も、その共犯もわかってしまう。 あらすじについては、備忘録を書く必要がないくらい素晴らしいサイトを見つけたので（よなよな書房　さん、まさに完璧である）書かないが、この叙述トリックについては驚かされた。 私は鈴木が神様なのを疑わないし、共犯者についても納得したが、さまざまな考察をする人がいるもので、やはり共犯者は父で、母がいなくなることが天誅なんだとか、父は母の犯行を知り、証拠隠滅を図ったのでは、などというのもあった。また、鈴木が神様ではなかった、という場合も考察されていたりして、驚かされた次第。

面白かった！ でも救いはない。マジかあ、と声が出ちゃう系の本。悪い意味で。 内容もだが挿絵も独特なオーラを放っており、小学生のとき読んでいたら色んな意味で忘れられない本になっただろう。心と脳みそを10歳に戻してから読みたい。 この作品は鈴木くんという全知全能の神様が正解(真実)を教えてくれる。推理しながらミステリを読む人間じゃないが、最後のドン引きネタばらしは推測のしようがない。 芳雄は最終的に鈴木君を神様だと信じる。自分が芳雄の立場でも信じると思う。 鈴木君が本当に「神様」なのか、それとも弁の立つ陰湿嘘つき野郎なのか、彼をどちらで見るかによって事件の見え方は変わる。 いや〜でも読み終わった今、鈴木君は異能な存在なんだろう、と私も思っている。 でも天誅が下ったのはママン？最後の最後に読者の頭の中は再度ぐちゃっとなる。真実とは…。 とりあえず生きることの虚しさとか世の中の理不尽とか、10歳じゃまだ考えない方が幸せなことを突きつけられた芳雄くんが不憫。親友、好きな女の子、優しい両親、将来への希望、一気に失っちゃった。神様の暇つぶしは残酷である。

「ぼくかい？ ぼくは天上から来たんだよ。ぼくは神様なんだよ。」 小学四年生の芳雄が住む町では、猫の惨殺事件が連続して起こっている。しかし、自分は神様で何でも知っているという転校生の鈴木君は、あっさりと犯人の名前を口にする。そして数日後、新たな事件が起こり…… もともとは「ミステリーランド」という児童向けのミステリー小説のシリーズ作品だが、子供が読んだらトラウマになりそうな内容。非常に後味が悪い。