ちいさなちいさな王様

人差し指サイズでちょっと太った小さな王様と、僕のお話。 王様の世界では、ある日ベッドの中で目覚めたときに人生がはじまり、はじめは大きく生まれるけれど、それから成長するにつれどんどん小さくなり続け、しまいには見えなくなってしまうという。 児童書かと思いきや、僕と王様との会話がけっこう哲学的で、子どもにはちょっと難しいかもしれません。 朝、通勤の途中で、なんとな〜く仕事に行く気がしない時ってありますよね。実はそれは、竜の仕業なんだそうですよ。大人になるにつれて小さくしぼんでしまう想像力を、もう一度大きく膨らませてくれるようなお話でした。 全部で17枚ほど挿絵があるんですが、私の大好きなマグリットっぽい絵もあったり、とっても素敵です。王様がコーヒーカップに角砂糖を投げ入れてる絵が特に好きです。

私もミヒャエル・ゾーヴァが好きで この本を手に取りました。 彼の挿絵がこのお話に深みを増す。 王様の世界では生まれた時は大きく。 歳をとるにつれ小さくなっていく。 私達の世界を重ねてみると 子供の頃は未来への夢や希望が大きい。 大人になるにつれ日々の制限や打算、 抑圧されている人も少なくない。 昔に比べ普通に出来ていた事も出来なくなっていく…。 【王様】は【人生が擬人化】したようなものかも しれない。と思ってしまう。 今、ココに存在する(王様)自分を大切にしたい。

ある日突然「ぼく」のところにやってきた小さな王様。どうやら王様の国では、なんでも知っている大人で生まれ、歳をとるごとにどんどん小さくなっていくらしい。「仕事」に振り回され、人生を楽しめていない「ぼく」の生き方を、王様は不思議がる。成長しなければならない、勉強しなければならないということが強迫観念になっていたり、強烈なストレスになっているという矛盾を、素直に指摘する王様。王様もどんどん小さくなって、この先いつか、見えなくなるほど小さくなってしまうのだが、なぜか想像力はとてつもなく大きい。なんだか不思議な物語。