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ガラパゴスの箱船 ハヤカワ文庫SF

カート・ヴォネガット(著者), 浅倉久志(訳者)

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商品詳細

内容紹介
販売会社/発売会社 早川書房
発売年月日 1995/10/31
JAN 9784150111182

ガラパゴスの箱船

¥220

商品レビュー

3.9

21件のお客様レビュー

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2010/05/28

奇想天外なストーリー…

奇想天外なストーリーですが、人類の小ささを感じる本です。よくできています。

文庫OFF

2020/07/20

その日に死亡する人の頭に印をつけるアイディアはとても興味深い。 時間をかけて、とても工夫した作品であることはわかる。 けれども、もっともっとと思ってしまいますね。 作者も大変です。

Posted by ブクログ

2020/05/14

人類は自然界の頂点に君臨すると、一応は考えられている。その根拠はいろいろ考えられるが、ひとつには脳の大きさがあるだろう。生物は進化するにつれて、脳が大きくなっていった。脳が大きければ大きいほど賢いことは、観察からもある程度わかる。例えば、犬はお手や伏せを覚えるので、ウサギよりも賢...

人類は自然界の頂点に君臨すると、一応は考えられている。その根拠はいろいろ考えられるが、ひとつには脳の大きさがあるだろう。生物は進化するにつれて、脳が大きくなっていった。脳が大きければ大きいほど賢いことは、観察からもある程度わかる。例えば、犬はお手や伏せを覚えるので、ウサギよりも賢い。チンパンジーは簡単な記号も扱えるので、犬よりも賢い。脳の大きさと知能に一定の関係があるとすると、脳の大きさが最大であるヒトは、生物の中でもっとも賢い。 しかし、もっとよく観察してみると、小さな脳の持ち主たちも凄いことをやっている。ファーブルの著書で有名なスカラベは、ヒツジや馬などの糞を丸めて玉を作るが、彼らは雪だるまのように転がして丸めているのではない。頭と前肢だけを使って完全な球形を作るのだ。誰に教わることもなく。人間に道具を使わずにこんな芸当ができるだろうか。 彼らは考えてやっているわけではなく、あくまでも本能に従って行動している。ヒトは本能から離陸して理性を獲得したわけだが、生物を観察していると、昆虫や動物が本能で苦もなくやってのけることを、人間は頭で必死に考えて下手糞に真似ているとしか思えないことが、しばしばある。一体、人間と動物と、どちらが賢いのか。 本書は、人間の脳が大きくなりすぎた欠陥品で、しかも危険きわまりない邪悪な機械である、という洞察のもとに書かれたサイエンス・フィクションである。私はこの本を大学生のときに知り、以来作者のファンとなった。 ご存じのようにヴォネガットは、未来をカリカチュア的に誇張して描くことで、現在の世界の歪みを浮き彫りにする手法をしばしば用いる。本作もその好例で、ホモ・サピエンスの脳の大きさは実際には一五〇〇グラム程度だが、この小説ではそれがさらに進化し、三キログラムという設定になっている。そして人類は、脳が大きくなりすぎたがゆえに、破滅の道を歩み始める。 彼一流のユーモアに溢れた表現をいくつか紹介しよう。 「当時の人間のおとなの大部分が、三キログラムもの重さの脳を持っていたのだ! それほどふくれあがった思考機械が想像し実行できる邪悪な計画には、およそ限界というものがなかった。」 「いくら人間がふえたといっても、この惑星にはまだすべての人間にたっぷりいきわたるだけの食料や燃料などがあったが、いまや何百万人もの人びとが飢えで死にかけていた。」 「そして、この飢饉は、ベートーヴェンの第九交響曲とおなじく、純然たる巨大脳の産物だった。」 「だから、こういうしかない。当時の人間の脳は、生命をどこまで粗末に扱えるかについて、ひどく口数の多い、無責任な発案者になっていたため、未来の世代の利益のために行動することまでが、ちょうど限られた範囲の愛好家がたのしむゲームのように扱われた——たとえば、ポーカーや、ポロや、証券市場や、SF小説の執筆のようなゲームのように。」 いかがだろうか。本作は構成の緻密さという点でもヴォネガットの作品群の中でとりわけ優れた部類に入るが、作品のいたるところに散りばめられたこうした痛烈な批判の数々を眺めるだけでも一読の価値がある。 ところで、この物語では人類は絶滅してしまうわけではない。しかし、ある意味ではそれよりももっと皮肉な結末と言える。過酷な自然選択の法則は、大きすぎる脳を無用だと宣告し、人類からそれを取り上げ、彼らは小さな流線型の頭とひれを持ち、和毛に覆われた体へと「進化」して、ガラパゴス諸島の片隅にあるサンタ・ロサリア島という架空の楽園でひっそりと暮らしていくのだ。 この物語における現在、つまり、いまから百万年後の人類には、もはやベートーヴェンの第九は書けない。だが、そんなものが何になる? 巨大な脳を持つことが、そんなにも偉いのか? ここで筆者は再び、冒頭の考察に戻る。はたして人間は本当に賢いのだろうか、と。

Posted by ブクログ

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