人語を解すアオゲラ探偵と（ちょっぴり孤独な）小学生の女の子を主人公にした連作ミステリ。日常の謎と言うには案外ヘヴィな事件が多い目。アオゲラ探偵も女の子もキャラ立ちしていて、美質は多いのだけれど、ミステリ的にはかなり無理な論理展開が目立つ。アオゲラ探偵が基本、人情を解さないので、機械的なロジックばかりになってしまう。さすがに無理があるかな。

親の仕事の都合上、転校を繰り返して友達がいない小学生のサトミが新しい場所で出会ったしゃべる鳥たち。 鳥たちの視点から論理的に日常の謎を解く展開が可愛らしくておもしろい。 サトミの性格は、でしゃばらない主張しないので、特に印象に残らないのが少し勿体無いかも。 探偵役のアオゲラだけでなく、コゲラのやかましい感じも可愛らしい。

小学生のサトミは、ある日森のなかで、二羽のキツツキが人間の言葉を話しているのを聞いてしまう。 思慮深いアオゲラ先生と、その相棒のコゲラ。 彼らがいうには、ほとんどの鳥は人語を理解しているが、しゃべれるまでになったのは物好きな自分たちくらい。 もちろん普通は人間の前ではしゃべらない。しかし、例外的にサトミは、“話してもいい人間”の条件に当てはまったのだという。 母の海外赴任で、叔母の暮らす緑豊かな町で暮らし始めたサトミが持ちこむちいさな謎を、アオゲラ探偵が名推理で解決！ たまたま手に取った、松尾由美さん、初読。 素直で読みやすい文体で、今どき風の小学生がふつうに描かれて、下手にこじれた児童文学より心地よく、でも意外にしっかり謎解き。 ブクログでのカテゴリ分けは、ファンタジーではなく、日常の謎にした。 美味しい素朴なおやつのように、素直にひととき楽しめた。 物足りなさすぎず、晩ごはんにも障りのない感じ。 たまには、こういうのもイイなぁ。 おやおや、SFも書いてるの？ちょっと楽しみ。