両親に紹介する待ち合わせに、彼は来なかった。 もう友人連に報告しているのにどうしよう？！　という 見栄のために言えない状態。 いや、確かにこれは言えない。 しかし振り返ってみれば、ものすごく怪しい彼でした。 という過去（？）から一転、突如申し込んだ契約婚は 案外うまくいっているような、いってないような？ 結局黙っていよう、から、できなくなったわけですが。 うまくいって良かった、ではありますが 相手の会社の自由さに、ちょっと突っ込みたい。 同棲してればオッケーって、悪用し放題？？

30歳目前。結婚を約束した相手には、貸したお金を持って逃げられ、マンションは契約更新間際。親や世間体、何より住むところがピンチの沙也は、建設現場のバーベキューで、酔った勢いで現場監督で「結婚したら楽になるのに」という藤木に「結婚しておきませんか」と提案する。とりあえず藤木のアパートに転がり込むも、職場への報告、親との関係など、様々な困難に直面する…。 タイトル通りの話である。もっというと、漫画やアニメでちょくちょく見るタイプの話。漫画やアニメのようには行かないのは、小説だとギャグパートが入れられないからね。 しかし、タイトル通りの話になるのはわかっているのだが、「じゃあ結婚しますか」というところで、すでに本の半分くらいまで進んでいるのだ。あれ？これって職場で誤解されるとか、喧嘩して家出するとか、誰か死ぬか危篤になるって話があるでしょ?とページ数を見ると、文庫本で全約280ページという、割と良い紙を使っているタイプの本だった。 いやいやいや、これでは展開には文字数が足りない…と思ったら、案の定のイベントが起こるのだが、半分を過ぎたあたりからプロットそのまま垂れ流し状態になり、もうちょっと登場人物の心の動きだとか、部屋の中の描写とか有るでしょ?という部分がほぼなくなってしまう。 さらに、女性作家の女性らしい、超都合の良い男性としての藤木くんが描かれるため、料理はうまく気を使い、優しく、気がついたら自分のことを好きになっているという、金田一蓮十郎などの少女漫画のような展開。なんかさ、いつどこで好きと感じるようになったのか、そのきっかけが読みたいんだけどな。 まあ、読むのにストレスは全く感じない。また、建築やゼネコンの部分をそれなりに現実味をもって描いていたところは☆一つ加点。それ以外は褒められたものではないな。 短編ドラマや漫画の原作としてはありだろう。 なお、最後に番外編が2つはいっているのだが、それを入れる隙間があるのなら、もうちょっと藤木の章を突っ込んで描くくらいはしてほしかった。 余談。 ペンネームの「タカナシ」というのも、アニメ、漫画由来という感じ。どうせ「小鳥遊」なんでしょ?ありがちすぎるのは「那由多」などと同様で、もうちょっとひねったほうが良い。