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シンドローム(下)
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商品レビュー
4.1
28件のお客様レビュー
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感想 誰も責任を取りたくない日本人特有の虚しい責任なすりつけ合い合戦になっている。 そんな利権を貪る輩を最後は鷲津が一刀両断にしてスカッとした。現実はそんなにうまく行かないのだろうけど。 コロナでも分かったが、緊急時はトップの力量が出るなぁ。 あらすじ 首都電は炉心の冷却もままならないまま時間が過ぎていく。首都電は事故調査委員会を社内で立ち上げることにした。一方、政府サイドも芝野をメインに据えて事故調査委員会を立ち上げる。首都電は自分たちのせいにならないように、政府は首都電のせいにしたい思いが蠢く。首都電は、若手の郷浦をスターに担ぎ上げてイメージアップを図る。 鷲津の首都電買収工作が明るみに出て、世間を騒がせる。潰れかけの会社を買収して果たして儲かるのか?鷲津の勧めで事故調査委員会の委員長になった芝野の立場も危うくなる。一方、国は首都電の国有化を進めようとしていたが、国有化しても旗振りできる人材がいないのが悩みの種だった。鷲津は野党大物の原発族である東海林と合う。 郷浦は、女子サッカーチームのあかねと首都電のイメージアップキャンペーンをやるように濱尾から言いつかる。 鷲津は総理の不正や濱尾の不正を次々と暴き立て主導権を握る。当初の予定通り、原発のみを切り離して政府に世話をさせ、美味しい電力事業だけを掻っ攫うことに成功する。
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首都電力(東京電力)の買収をもくろむハゲタカ鷲津がテーマ。途中までは、2011年3月11日の首都電力(東京電力)の磐前県(福島県)原発事故について書かれています。すべて仮名ながら、おおよそ誰とわかります。業界でしか知られていない内容なども書かれ、かなり多数の人に取材したものと思い...
首都電力(東京電力)の買収をもくろむハゲタカ鷲津がテーマ。途中までは、2011年3月11日の首都電力(東京電力)の磐前県(福島県)原発事故について書かれています。すべて仮名ながら、おおよそ誰とわかります。業界でしか知られていない内容なども書かれ、かなり多数の人に取材したものと思います。原発事故当時の首相は、高校の先輩なので、ボロクソに書かれているのには(気持ちはわからんでもないですが)ちょっとだけ弁護したくもなりました。 下巻の半分くらいまで、(手に汗握る?)原発事故対応の内容。「これだとハゲタカっぽくないな」と思っていると、後半からいよいよ首都電力買収交渉です。政界、財界、検察、メディアを巻き込み、本当のディールの舞台裏も、きっとこうだろうと思える緊張感で読めました。
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鷲津曰く:「東日本大震災が起きてから…、何か大きなものを失ったという方が近い。」 例えば、技術大国としての日本。 一度、原発事故が発生すると、今までの態度・恩恵を忘れて、誰もが原発を非難し始める。停止だ、原発ゼロだ、と。省エネ止む無し、火力発電も止む無し、と。 非難された電力会社社員の肩身は、どうでしたか。事故処理に昼夜対応いただいた方達には、労いの言葉は届けられたのでしょうか。よく、「原発ゼロでも、停電はなかった」と聞く。「2000年問題もトラブルなし」と。どれだけのエッセンシャルワーカーが、どれだけの苦労と涙を流して、問題のない世界を維持してきたか。一つひとつが、日本の持つ科学技術ではないでしょうか。 きっと、どんな科学技術も、人の幸せを追求して発展してきたのではないか。蒸気機関も、車も、飛行機も、電気も、レントゲンも、ロケットも、コンピュータも。ただ、あの日、”原子力”に関しては、はっきりと「NG」が突き付けられたような気がする。資源の少ない日本においては、原発は必要悪であったハズなのに。全国民から早急に回答を求められてしまった。NGと。他の技術がどれ程の犠牲の末に現在に至っているかも考慮しないで…。 震災と原発事故で、失ってしまった世界から、すでに10年。 残念ながら私たちは、豊富な電力なしでは、生活が成り立たない。再生可能エネルギーはまだ途上だ。化石燃料に頼る発電もエコではない。社会インフラを維持する「当たり前」の世界。必要悪を含めて、私たちは検討する”ターニングポイント”に来ているのではないだろうか。 ハゲタカの企業買収とは、直接関係ないが、10年を思い返してしまった。
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