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商品詳細
内容紹介 | |
---|---|
販売会社/発売会社 | 新潮社 |
発売年月日 | 2014/08/26 |
JAN | 9784105901103 |
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商品レビュー
4.5
41件のお客様レビュー
親子というものは奇妙な関係である。 「家族」というくくりは、子どもが独り立ちするまでは確かにあった。 が、その後の「家族」には後悔や苦悩、時として束縛の香りすらする。 スバシュとウダヤン、1940年代生まれの西ベンガルの兄弟。 弟は凶弾に倒れ、アメリカで暮らす兄は弟の妻と子を引...
親子というものは奇妙な関係である。 「家族」というくくりは、子どもが独り立ちするまでは確かにあった。 が、その後の「家族」には後悔や苦悩、時として束縛の香りすらする。 スバシュとウダヤン、1940年代生まれの西ベンガルの兄弟。 弟は凶弾に倒れ、アメリカで暮らす兄は弟の妻と子を引き取る。 物語は兄弟や妻ガウリ、その子ベラの視点で、様々に揺れ動く感情を、淡々と描く。 三人称だが、短いフレーズでそれぞれの想いがよく伝わる文章。 作者ラヒリは、これまで描いた「インド系移民」というテーマはやや離れて、人間ドラマの色合いの強い物語をかたる。 60年代に吹き荒れた「革命」という熱病、家庭という伝統の崩壊、それでも関わっていく人々の長いドラマを、舞台となる土地の様子とともに、痛々しくも清々しく、味わうことができた。
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何度か挑戦したけれど、いつも途中で挫折したり、かなり読み飛ばしてしまい苦手意識があるクレストブック。今回、初めてしっかりと読めました。それでも最初の60ページぐらいは、やはりかなり辛く、多くの方のレビューで評価が高いのを励みに読み進めました。 何がそんなに苦手なんだろう?今...
何度か挑戦したけれど、いつも途中で挫折したり、かなり読み飛ばしてしまい苦手意識があるクレストブック。今回、初めてしっかりと読めました。それでも最初の60ページぐらいは、やはりかなり辛く、多くの方のレビューで評価が高いのを励みに読み進めました。 何がそんなに苦手なんだろう?今回は、映画のノベライズ本のような感覚を持ってしまうからかなと感じました。情景描写や土地や風景の説明が、自分が普段読み慣れているものより詳しく、そしてドライに書かれているところが、自分にとっては退屈に感じてしまうのかもしれません。映像で先に何となく見たシーンを、とても詳しく文字にしているようなまどろっこしさを感じる。文字から映し出される風景を、もっとじっくりと味わう心の余裕を持たねばと自省しました。 ガウリ。夫ウダヤンを若くして亡くし、その人との子ベラを宿し、愛した人の兄と再婚し、インドからアメリカに渡り子育てをする。同情する余地はあるけれど、どうしても彼女のことを好きにはなれなかった。ガウリは世の中の母親の多くがしているように手放しで子供を愛することができない。 [ベラと二人で過ごす時間がたっぷりあったというのに、かつてはウダヤンに感じたような愛情が再び立ち上がってくれることはなかった。逆に麻痺したように動きの取れない無力感が広がっていた。どこの女でも、当たり前にしてのけていることが、一人だけうまくいかないという気がする。こんなもので苦労することになったのがおかしい。] 子供を心から愛せないのが悪いと言っているのではなく、自分の人生を生きたい、もっと勉学を極めたいという自己完結ともいえる欲望が根本にあり、子供を捨てたと感じるからだ。愛せないから捨てたのではなく、子供のそばにいることより自分の欲を取っただけに感じられた。上手く愛せなくても捨てることはない。もう亡くなっている、若き日の恋人ウダヤンとの思い出は、記憶の中で濾されていって甘美であったり固執するに十分な特別なものになるのは当然だ。その思い出まで言い訳にして自分勝手な自分を心のどこかで慈しんでいる気がしてならなかった。 「あたしのこと好きだって言うより、あたしの方がおとうさんを好き。」 というスパシュとベラのシーン。物語全体に孤独感ややるせなさがはびこる中で、どんな仄暗さをも寄せつけない愛の強さを感じ、輝かしく印象的だった。
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ガウリを想う。 祖父母の家で育ち、16歳で両親を交通事故で失う。大学に通う頃には兄しか側にはおらず、ずっと一人で生きていくんだと心に決めている。 結婚後に勉強を続けたくとも、婚家では働き手と見なされる。姑との関係も微妙だ。そしてウダヤンの死。異国へ渡る手段としての再婚の末に、亡夫...
ガウリを想う。 祖父母の家で育ち、16歳で両親を交通事故で失う。大学に通う頃には兄しか側にはおらず、ずっと一人で生きていくんだと心に決めている。 結婚後に勉強を続けたくとも、婚家では働き手と見なされる。姑との関係も微妙だ。そしてウダヤンの死。異国へ渡る手段としての再婚の末に、亡夫の子を出産する。 子育てをしながら彼女は「ウダヤンと私の子なのに父親面して欲しくない」/「自分は100%子供を愛しきれない」という背反する二つの思いに挟まれて自らを苦しめている。更にインドで犯した過ち故に、自らを罰し続けている。 失意の底にあった二人が始めた新しい家族の形が、更にまた壊れていく様を読みながら、救いの手や再生を求めてしまう自分がいる。子供と二人で家にいることに耐えられず、束の間の自由を求めて外出することは、どれほどの罪なのか。子供に無償の愛を注げない母親は許されないのか。 家族が崩壊した後、それぞれが人生をどのように生きていくかが、誠実に丁寧に描かれていく。 そしてラストの描写がなんと美しいことか。470頁全てが、この数行のためにあるかのようにさえ思えるほどに胸を打つ。
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