入院中に好きな人から貸してもらった忘れられない一冊。 それまで暗い小説を好き好んでいた私は、底抜けに明るくて、ただただ真っ直ぐ、、なんだけれども、この小さな港町で出会うみんながそれぞれの想いを持ちながら生きていくのが、人間味の深さも読んで見て取れる。 それなのに、決して読み手が重くなることなく、読み切った後は温かい気持ちになった。 好きな人がこのような前向きな小説を読んでいたことも知ることができて、ほんの少し彼の頭の隅を覗けたようで嬉しかった。心細い入院生活を照らしてくれた好きな人とこの本は結びついて一生忘れられないものとなった。 　肉子ちゃんのような存在が好きな人の近くにいますように。美しい街で幸せに暮らしていますように。

「肉子ちゃんの影。大きくて、やっぱり、濃い。」 ふくよかな女性がとある街にやってきて、 というシチュエーションは 映画『バグダッドカフェ』を思い出す。 もちろん全く別物で、こちらは母と娘とその周辺のクセの ある人たちのイキイキとした日常を描いた作品。 物語は小5の娘のほうの視点で展開していきます。 ほぼ同い年の娘を持つ父としては、娘を通してこの話に 触れているような不思議な感覚になります。 だからこそ、最後のくだりはぐっときますね。 西さん、サラバ！も良かったですが本作も力強くてよかった。

カバーからどんなお話だろうとワクワクしながら読んだ。肉子ちゃんはカバー絵以上にパワフルな人だった（笑）周りにひどいことを言われようとも恨んだりせず、馬鹿正直で天真爛漫な人。そして個性豊かな大人たちに囲まれ成長していくキクちゃん。家族のカタチは様々あって、こういう家族も全然アリだなぁとほっこりした。