ヒトとチンパンジーの違いは１％の遺伝子。（これだけでも驚き！） にも拘らず、チンパンジーが癌で死亡する割合は２％、対してヒトは３０％にものぼる。 ヒトは進化の過程で、癌細胞を増殖させやすい条件を抱え込んでいたのだ。 人類は直立二足歩行を始めた事で手が自由になり、 オスは交尾と引き換えに、メスに多くの食糧を運んだ。 メスは継続的に食糧を運ばせるため、チンパンジーのような繁殖期のサインをなくした。 繁殖のタイミングがわかりにくくなったオスは、 常に交尾できるよう精子を作り続ける必要に迫られた。 だが、皮肉にもその仕組みが癌細胞の増殖に利用されることになる。 本書は、病を進化の観点から見るという全く新しいアプローチの番組、 NHKスペシャル「病の起源」を基に、取材陣がより詳しい情報を加えて書き下ろされた。 日本だけでなく、アメリカやイギリス、ドイツなど世界中の専門家にコンタクトをとり、 医学や生理学から人類学、動物の生態学や考古学まで 幅広いジャンルの取材に裏打ちされた内容に、知的好奇心が限りなく刺激された。 新しい知識を吸収するのは、なんて楽しいんだろう！ 本の中で石器時代にタイムトラベルしたり、人体のミクロの世界を探検したり、 子供の頃のわくわくした気持ちを久しぶりに味わった。 そして、進化や生物について、もっともっと知りたくなった。

欧米は人間は神が作ったもので進化論には反感をもつ人がいる 日本は、お伽話でも動物が人間に変身するなど、進化論に抵抗がない タンザニア北部　ハッザの人々　原始人に近い。一日移動距離は２８キロ。 腰痛の原因は二足歩行ではなく、農耕などで腰に負担がかかること 無呼吸症候群の原因は、顎が小さくなって奥行きがなくなったため アレルギーは、清潔過ぎる現代病　 糖尿病は食べ過ぎ　脂肪細胞は、膨らむとインスリンの働きをブロックする物質を出す＝インスリン抵抗性＝血糖値が高いままになる お腹いっぱい食べたいという欲望が大きくなって糖尿病が急増 多細胞動物のコピーミスがガンの起源 ひたすら分裂を続ける細胞＝腫瘍になる　他の臓器に転移するものがガン がん細胞は、マクロファージを悪用して酸素を供給させる 繁殖が可能な若い時期にはガンを避け、高齢になるほどリスクを高くした ｐ１６タンパク質＝ガンを抑制する一方で老化を促す 生殖細胞にとって、個体は使い捨て。遺伝情報を伝える能力のみが役立つ ガンは急速に進んだ生活環境の変化の影響 ホモ・エレクトス、ホモ・ネアンデルターレンシス、ホモ・サピエンス 精子を継続的に作る仕組み　アポトーシスを避ける この遺伝子をがん細胞も利用して、細胞分裂を続ける 潜在ガン＝臨床的にはガンと診断されない＝前立腺がん 男性ホルモンが多いと前立腺ガンになりやすい 宦官には前立腺がんは発症しない FASが脂肪酸を合成する＝脳のニューロンの材料になる ガンは、FASを利用して老廃物を排出している FAS阻害剤ががん治療薬として注目 グレート・ジャーニー＝脱アフリカ 太陽光に当たらないとビタミンＤを合成できない メラニン色素で、紫外線の吸収と皮膚がんのバランスを調整 太陽光不足 手のひらにはメラニン色素がないため日焼けしない 人のガンの８割は生活習慣による ハッザは、エネルギーの３分の２を果物、野菜、残りは野生の肉卵、 現代人は穀物が多い 乳がんは、女性ホルモンが多いほうが多い 現代人は、初潮が早く妊娠期間が少ない、閉経が遅い、授乳期間が短い エストロゲンが多いと発生しやすい 睡眠時のメラトニンにがん抑制効果＝夜間勤務はメラトニンを減らす 長生きすればするほどガンにかかりやすくなる。個体は遺伝子を次の世代に渡すためにある使い捨ての乗り物。 がんで死ぬことを避ける、ガンになるのは避けられない カルシウム＋ビタミンＤでガンが予防できる 脳卒中は、出血（脳出血、くも膜下出血）と、詰まる（脳梗塞）の総称 血圧の上昇が原因 ピグミーは血圧が上がらない ピグミーは塩分を少量しかとっていない ナトリウムを体が再利用 脱アフリカが、塩の利用を促進した エルゴン山には、動物がナトリウムを取りに来る 塩は、麻薬と同じ 塩以外にも食べ過ぎによるコレステロールで詰まる