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わたしが・棄てた・女 新装版 講談社文庫

遠藤周作【著】

定価 ¥814

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商品詳細

内容紹介
販売会社/発売会社 講談社
発売年月日 2012/12/14
JAN 9784062773027

わたしが・棄てた・女 新装版

¥220

商品レビュー

4.3

53件のお客様レビュー

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2024/02/06

作者が考えた理想の女性とされる森田ミツ。美しくもなければ学問もなく、ただ誰か他人がミジメで、辛がっているのをみると、すぐ同情してしまう癖を持つ彼女は、作者の描くイエス像を思い起こさせます。なぜ彼女がみじめに棄てられなければならなかったのか、という問いはすなわち、なぜイエスが十字架...

作者が考えた理想の女性とされる森田ミツ。美しくもなければ学問もなく、ただ誰か他人がミジメで、辛がっているのをみると、すぐ同情してしまう癖を持つ彼女は、作者の描くイエス像を思い起こさせます。なぜ彼女がみじめに棄てられなければならなかったのか、という問いはすなわち、なぜイエスが十字架に架けられなければならなかったのかという疑問へと結びつきます。

Posted by ブクログ

2024/01/27

『沈黙』を昨夏に読んで以来、久しぶりに遠藤周作の作品を手に取った。 遠藤周作の小説は、いつも私に疑問を問いかける。 「神は存在するのか?」「真実の愛とは何か?」。 小説を読み終わっても明確な答えが書いてあるわけではないけれど、こんなに真正面から真摯に読者に問いかけてくる作品ってあ...

『沈黙』を昨夏に読んで以来、久しぶりに遠藤周作の作品を手に取った。 遠藤周作の小説は、いつも私に疑問を問いかける。 「神は存在するのか?」「真実の愛とは何か?」。 小説を読み終わっても明確な答えが書いてあるわけではないけれど、こんなに真正面から真摯に読者に問いかけてくる作品ってあんまりないような気がして、なんだか嬉しくなってしまう。 けれど相も変わらず、遠藤の作品はどれも暗い。 この暗さと重さに堪えられず、そしてあまりにもミツが可哀想で、一度読むのを離脱してしまったほどだった。彼女の吉岡を思う一途な愛を、少し疎ましく感じることもあった。 同じ女として、「あんな男のことなんて早く忘れて仕舞えばいいのに」と何度思ったことか。 しかし読み終わった時、私の中でミツは少なくともただの"可哀想な女性"ではなかった。 彼女の生き方は上手ではなかったかもしれない。 でも、その愛と行動の姿はきっと関わった人の記憶に、そして読み終わった人の心に、一生焼き付いて離れないのではないかと思う。 「人間は他人の人生に痕跡を残さずに交わることはできない」という作中の言葉が深く胸に刺さった。 誰かと出会うことが簡単になりつつある現代に、この言葉は忘れたくないと思った。

Posted by ブクログ

2023/11/28

ミツは愚鈍で教養もなく、美しくもないけれど 心の優しさ、暖かさ、弱い他者への共感する力を誰にも教わることなく持っていた。 自分もそれを理想として生きているけれど、そうなりきれることもなく打算やエゴイズムで世渡りしてきたこともあり、その経験、記憶を消し去ることはできない。 私は神や...

ミツは愚鈍で教養もなく、美しくもないけれど 心の優しさ、暖かさ、弱い他者への共感する力を誰にも教わることなく持っていた。 自分もそれを理想として生きているけれど、そうなりきれることもなく打算やエゴイズムで世渡りしてきたこともあり、その経験、記憶を消し去ることはできない。 私は神や特定の宗教を信じる者ではないので、生きていく指針は自分で構築していくしかない。 自分の理想に恥じない生き方を省みるためにも、この話はとても沁み入るものだった。 ラストの吉岡の諦観は後味悪く、鼻白むものがあった。 色々な意味で、忘れられない一冊になった。 読み始め、石川達三の「青春の蹉跌」と似た展開だと思ったが 読後感は全く違った。救いの無さ、後味の悪さはいい勝負。

Posted by ブクログ

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