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商品詳細
内容紹介 | |
---|---|
販売会社/発売会社 | 毎日新聞社 |
発売年月日 | 2012/11/30 |
JAN | 9784620107899 |
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商品レビュー
3.6
81件のお客様レビュー
久しぶりの高村薫先生。 1章で普通の人の幸せな暮らしと、対極にいる利己的で暴力的な人間が交わりそうな気配を見せつつ、2章に入るところはワクワクしたなぁ。しかし2章に入ると、書きぶりが合田の目線はかなり少なめで、捜査報告書のように淡々と状況を描写するようになったので、動かされないん...
久しぶりの高村薫先生。 1章で普通の人の幸せな暮らしと、対極にいる利己的で暴力的な人間が交わりそうな気配を見せつつ、2章に入るところはワクワクしたなぁ。しかし2章に入ると、書きぶりが合田の目線はかなり少なめで、捜査報告書のように淡々と状況を描写するようになったので、動かされないんだよなぁ。これ、状況描写だから読み飛ばそー、と言うところが多かった。前編でここまで片付いて残があまり無いようだけど、後編に新たな何が出てくるのかしら?
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この上巻だけでは、このところドストエフスキーや埴谷雄高を凌駕せんとしているようにも見える高村薫先生が、思弁的で難解で長舌な「太陽を曳く馬」に続いての、そこでは何かしら宗教者か哲学者になってしまったような合田雄一郎を主役に据えての本作はどのような意味を持つかは分からない。 被害者と...
この上巻だけでは、このところドストエフスキーや埴谷雄高を凌駕せんとしているようにも見える高村薫先生が、思弁的で難解で長舌な「太陽を曳く馬」に続いての、そこでは何かしら宗教者か哲学者になってしまったような合田雄一郎を主役に据えての本作はどのような意味を持つかは分からない。 被害者と犯人たちを事細かに追っていく第一部は、それでも非常に読みやすく、プロローグとしては申し分はない。第2部での合田雄一郎もあまりに事件捜査のドキュメンタリーでもあろうかと思われるような細かい記述の変態性を除けば、物語としておかしくはない。 しかし話をここまで進めてしまって下巻はどう展開していくのであろう。おそらくこの構成にこそ作者の意図が明快にあるいは分かりづらく難解に記されていくのだろう。 ここまでは意図が分からないため非常に不気味だ。
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第一部は三者の視点で語られる。 多感な少女と、何かが麻痺している若い男二人。 どちらも互いの人生が交錯することなど想像もしていない。いや、上流家庭の少女にとって「不良」とはせいぜい大人ぶった同級生くらいで、本当に刑務所を出た男のことなど認識の外だろうし、底辺の男たちにとっても実...
第一部は三者の視点で語られる。 多感な少女と、何かが麻痺している若い男二人。 どちらも互いの人生が交錯することなど想像もしていない。いや、上流家庭の少女にとって「不良」とはせいぜい大人ぶった同級生くらいで、本当に刑務所を出た男のことなど認識の外だろうし、底辺の男たちにとっても実際の上流家庭は「階層が違う」世界の話である。 読者には両者が事件の「被害者」と「加害者」として遭遇するとすぐにわかるのだが、初めは何も考えていなかった加害者が「偶然」被害者を認識し、不幸な結末へのカウントダウンが刻々と進んでいく緊張感が息苦しい。 事件は第二部で決着したように見えるが、下巻がある。 何が出てくるのか、事件に対してぼんやりと抱いている安堵感が根底から崩壊させられる不安感しかないのだが、読みたくないのに読まざるを得ない気持ちになっている。
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