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ピカソは本当に偉いのか?
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ピカソは本当に偉いのか?
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商品レビュー
3.8
27件のお客様レビュー
以下の質問に答えている。 1.ピカソの絵(「アビニョンの娘たち」を中心として)は本当に美しいのか、どこがうまいのか 2.見るものにそういう疑問を持たせる絵がどうして偉大な芸術とされるのか 3.そのようにどうしてこれほどの高値がつくのか? 4.ピカソのような絵は誰でも書けるのではな...
以下の質問に答えている。 1.ピカソの絵(「アビニョンの娘たち」を中心として)は本当に美しいのか、どこがうまいのか 2.見るものにそういう疑問を持たせる絵がどうして偉大な芸術とされるのか 3.そのようにどうしてこれほどの高値がつくのか? 4.ピカソのような絵は誰でも書けるのではないか 5.そう思わせるような絵を偉大とする美術界はどこかおかしいのではないか 6.そういう絵にこれほどの高値をつける美術市場もどこかおかしいのではないか。 作者はこれにこのように答えている。(以下ネタバレ) 1.ピカソの絵は、それ以前の美術の基準に照らせば美しくない。しかし、ピカソの絵は、超絶なデッサン力に支えられており、非常にうまい。 2.ピカソの絵は当時求められていた前衛芸術であり、衝撃によって人々に従来の基準への疑問を抱かせることを狙っていた。 3.ピカソが現れた時代、それ以前の教会を飾ったり貴族の家を飾るという実用性のある美術と異なり、美術館に入れるための絵が求められており、美術品自体の主張が必要とされていた。ピカソの絵はその需要に応えていたから、高値がついた。 4、ピカソの作品は、高い技術と巧妙な市場戦略に支えてられており、亜流の作家では真似ができない。 5.ピカソの絵は、絵がもっぱら美術館に飾られるものになったと言う文化の変化に対応するものであり、その方向をうまく追求しているために偉大とされている。 6.美術が儲かるとする投資家、画商、オークショニアの力により美術市場が支配されているため、高値がついている。また、新しい作家を育てるよりも、既に定評のある作家の作品の値を上げる方が、投資として効率的であると言う戦略に基づいて、ピカソの絵の価格が上がっている。
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色々勉強になりました。 絵については神童で、若くして名声を得て、 その富も名誉も落ちないまま、 女をとっかえひっかえしながら、 長寿をまっとうした、という ゴッホやゴーギャンとかと全く違い 芸術家的な破滅ストーリーが全く無いピカソ。 それはそれで偉大すぎます。
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19世紀の革命期以降、美術の評価の舞台は王族貴族のアカデミーから市民の世論になった。こうなると作者の声高な主張や作品の衝撃度が勝敗を分け、アトリエは世間に衝撃を与える作品の試作や実験の場所となる。ピカソの『アヴィニョンの娘たち』はその代表ともいえるものでいわば「新理論の論文」であ...
19世紀の革命期以降、美術の評価の舞台は王族貴族のアカデミーから市民の世論になった。こうなると作者の声高な主張や作品の衝撃度が勝敗を分け、アトリエは世間に衝撃を与える作品の試作や実験の場所となる。ピカソの『アヴィニョンの娘たち』はその代表ともいえるものでいわば「新理論の論文」である。 更に写真の登場によって写実的な絵画は衰退し近代美術は「反写実」に向かった筆触(タッチ)の強調やさらに個々の画家が独自にそのスタイルを工夫することで自らを主張した。スーラの点点やセザンヌの平筆タッチ(p.123~) 近代以降の写実的でない美術の個々の解説は何度読んでも腑に落ちなかった。というよりはなぜこんな絵を描こうと思ったのかが理解できなかった。このようなマーケティングの視点(どの層をターゲットにしたか)ともいえる解説によりやっと腑に落ちた。 絵画が高額で取引されるのも需要と供給という市場原理に則っただけで画商の勝利であっても画家の勝利ではない(p.178)も頷けた。一度できたスター(ピカソほか)の名に乗っかったほうが価値を高められると。
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