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走ル
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走ル
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商品レビュー
3.3
22件のお客様レビュー
- ネタバレ
※このレビューにはネタバレを含みます
⚫︎受け取ったメッセージ とにかくただただ「走ル」こと自体を書くことに テーマを置いている作品 ⚫︎あらすじ(本概要より転載) なんとなく授業をさぼって国道4号線を北に走り始めただけだった…やがて僕の自転車は、福島を越え、翌日は山形、そして秋田、青森へと走り続ける。彼女、友人、両親には嘘のメールを送りながら、高2の僕の旅はどこまで続く?21世紀日本版『オン・ザ・ロード』と激賞された、文藝賞作家の話題作。 ⚫︎感想 ロードノベルといって想像するのは、旅先でのあれやこれやが走る者の心情に変化をもたらし、成長する的な先入観だが、これは全く違う。ほぼ無計画に、無目的に、嘘をつきながらひたすらに走る。旅先でも、特にこれといった何かに出会うわけでもやるわけでもない。走ること自体が目的。だから、繰り返されるのは、自転車の描写、どの道を通って…という経路、メールのやり取り、自分の身体の様子、自分の心の動きを書くけど、風呂に入りたい、ご飯を食べたいとか、内面ではなく本能的な欲の描写でほぼ構成されている。それがかえって新しい。 羽田さんの作品は3冊目だけど、いい意味でねっとりしたものが通底しているように私は思う。 解説もおもしろかった。平行派と垂直派の話。羽田さんの小説はY軸的であるという指摘。
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どす黒かったり、ザワザワするような読後感であったりすることの多い作家という印象ですが、本作は羽田圭介の小説にしては、「素直」な作品であるという印象を受けました。 文庫解説にもありましたが、「自転車で旅をしているのに、主人公が成長していない」ということが、そして旅のなかで触れる風...
どす黒かったり、ザワザワするような読後感であったりすることの多い作家という印象ですが、本作は羽田圭介の小説にしては、「素直」な作品であるという印象を受けました。 文庫解説にもありましたが、「自転車で旅をしているのに、主人公が成長していない」ということが、そして旅のなかで触れる風景や自転車の挙動などの一つひとつの描写が緻密であることが、作品のリアリティを支えています。 ある意味、「旅をすることで主人公が様々な経験をして成長する」ということは「ファンタジー」なのかもしれません。
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物置から出てきたロードバイクで衝動的に走る。ただ、走る。 芥川賞作家の羽田さん、初です。冬になると自転車に乗れなくなるのでその鬱屈を少しでも和らげたくて手に取ったのですが、ちょっと楽しみきれませんでした。主人公の、若さゆえの行動に対して共感できないのは、すでにそういう年齢になっ...
物置から出てきたロードバイクで衝動的に走る。ただ、走る。 芥川賞作家の羽田さん、初です。冬になると自転車に乗れなくなるのでその鬱屈を少しでも和らげたくて手に取ったのですが、ちょっと楽しみきれませんでした。主人公の、若さゆえの行動に対して共感できないのは、すでにそういう年齢になっているからでしょうか。あるいは主人公の性格に惹かれなかっただけなのかもしれませんが。 ただ、こんなふうに何もかも投げ出して理由もなく愛車でどこまでも走っていけたらどんなに気持ちいいだろう、という意味で、羨望を覚える作品ではありました。 ロードバイクブームの直前くらいの作品だからか、歩道を30km/hで走ったりドッグファイトしたり無灯火で夜に走行したり、という表現が出てきますが、当時としてもちょっとご愛嬌としても受け取れないマナーの悪さかもしれません。ポリコレ以前の問題として。 ちなみに作中に憧れの存在としてランス・アームストロングとマルコ・パンターニというスーパースターが出てきますが、アームストロングはドーピングで、パンターニは麻薬で、ともにこの本が出版されてから早々にレース界(あるいはこの世)を去ります。ただの憧れとして見るにはちょっと業が深すぎるのです。
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