挿絵が少し儚げで、哀しさもあるけれど、ほんのり温かな読了感を感じさせてくれる、ファンタジー小説にとてもマッチしていた。 この類の、人物設定やストーリーには初めて出逢い、新鮮でしたが、 通り過ぎていく道のなかで、ふと足を止めて、すきまの景色を愉しむ。 そんな大切なことを思い出させてもらった。 物語の最後で、すきまのおともだちたちの正体が明かされますが、それがわかった時、きっと忙しないなかのスキマに飛行した時間や空間が、ありのままのわたしであった子どものような心で世界を眺めるわたしを連れ戻してくれるんだろう。 比喩がたくさんあり、東直子さんの詩や短歌を通じて、ストレートな事実を論じた論説ではなく、アルケミストや星の王子さまのような、ファンタジーを通じた哲学小説がお好きな方にはハマるかもしれない。 わたしは好きな小説でした。 要所、涙も溢れるほど。 疲れたときは、ときどき、すきまのおともだちに会いに旅をしながら、わたしなりの人生を、地に足つけて歩いて行きたくなりました。 わたしのすきまのおともだちは、いつかの瀬戸内の波打際、かな。 みなさんの、すきまのおともだちはどんなひとですか？ ぜひ、自分自身を廻らせながらあなただけのたどってきた道を思い出しながら、旅先の欄干でゆっくり読んでみてください。 旅に似合う作品です。 そして、主人公の新聞記者に会いたくなりました。 今日は、どこを旅しているだろうか。 勧めて下さったMさん、ありがとうございました！墓場まで大切に、一軍本棚に飾ります。