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ロクス・ソルス 平凡社ライブラリー511
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ロクス・ソルス 平凡社ライブラリー511

レーモン・ルーセル(著者), 岡谷公二(訳者)

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ロクス・ソルス 平凡社ライブラリー511

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商品詳細

内容紹介
販売会社/発売会社 平凡社
発売年月日 2004/08/09
JAN 9784582765113

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商品レビュー

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2025/01/07

20世紀フランスの作家であり詩人であるレーモン・ルーセル(1877-1933)の奇想的な小説。1914年。当時はごく一部からしか評価されなかった。 □ 本書の構成は、天才科学者カントレルが自らの手になる奇怪な発明品の数々について、その説明とそれにまつわる物語とを延々と語ってい...

20世紀フランスの作家であり詩人であるレーモン・ルーセル(1877-1933)の奇想的な小説。1914年。当時はごく一部からしか評価されなかった。 □ 本書の構成は、天才科学者カントレルが自らの手になる奇怪な発明品の数々について、その説明とそれにまつわる物語とを延々と語っていく、というものである。 そのため、本文にはふたつの異質な文体が交互に入れ替わりながら現れる。この点は本書の大きな特徴をなしている。ひとつは、機械のマニュアルのように説明的で、曖昧さと過不足のない、そのためどうしても個々の対象との距離が一律に近くなってしまう、科学的で即物的な記述の文体。もうひとつは、単なる即物的事実の羅列に一定の含意をもたせようと、個々の対象との距離が主題の表現にとって適切な比率に調整されている、物語の文体。前者の文体は、個々の要素の説明としてはそれなりに正確だが、ひとつひとつの対象に近接し過ぎるあまりそれらと他の要素とがどのような関係で結びつけられるのかが見出しづらくなってしまい、諸要素の全体が謎として残されてしまう。このような意味論的な遠近感や全体性を端から無視した科学的即物的記述が、後者の文体によって物語化されることで、個々の要素のあいだに文脈が補われてそれらが全体として像を結び、謎が解明されていく。微小な要素へと還元されて散り散りになった個物たちを、意外な関係で束ねてひとつの新たな文脈へと再整序していく、その手腕は見事だ。 出版当時の本書の数少ない理解者であったロベール・ド・モンテスキュー(1855-1921)も、ルーセルの中に「一見解けそうもない事実の方程式を出しておいて、そのあとで、全く議論の余地を残さないほどもっともらしく、やすやすとそれを解いてみせる代数的情熱」(p368-369訳者解説)を見出して評価している。なおモンテスキューは、ユイスマンス『さかしま』のデ・ゼッサントやプルースト『失われた時を求めて』のシャルリュス男爵のモデルとなった人物として知られている。 □ こうして立ち現れてくる奇想の小宇宙の、その独特な佇まいに惹きつけられる。しかしこのとき、私はその「佇まい」の一体どこに惹きつけられているのか。 それは、超時空的で非人称的で普遍的な、言葉それ自体の外側に惰性的な意味(教訓だとか目的だとか効用だとか共同性だとか)を匂わせて読み手に干渉してこようとはしない、読み手に対していかなる方向の作用ももたない、読み手に対していかなる意味も強要しない、読み手を惰性的日常以前のひとりのままにしてくれる、そもそも読み手などいなくともそれ自体としてただそこにあるだけの、そしてそのような在り方に耐え得る、そういう透明な文字列であり、その透明さに何がしか美的なものを感じ取っているのではないか。例えば、知的生命体が存在しない宇宙の彼方における、ピタゴラスの定理の証明(あるいは、もっと奇妙で実用性もなくそもそも誰にも知られていないが、それでも成立している数学上の定理の証明)のような文字列の透明さに。それはボルヘスのエッセイ『幻獣事典』『夢の本』などにも通じるものがあるし、本書のような科学的即物的記述と物語との組合せは澁澤龍彦『フローラ逍遥』における植物画とその花々にまつわる澁澤の小文との取合せを想い起させる。そこでは、自然物も人間文化もそれぞれの仕方で透明化=標本化され、現実の意味連関から切り離された標本箱に排列されている。 カントレルの研究も、さらには『ロクス・ソルス』という作品も、そしてそもそも奇想というものが、一切の惰性的な意味から切り離されたあとになお残る、それ自体であり、それは起源ももたず、そして帰着する場所ももたない。Depart from nowhere, return to nowhere. ただ想像の自由ということの自己証明でしかない、ということ。 訳者によれば、ルーセルは「作品は、全くの想像から生れた組合せのほかは、現実のものはなにひとつ、世界と精神についてのいかなる観察も含んではならない」と信じていたという。(p373訳者解説) □ しかし、「透明」だとか「惰性的日常」だとかいう、そして次には「純粋」だとか「本来性」などと言い出しかねない、このハイデガー的で疎外論的な語彙は何とかならないものか、とも思う。それこそ、この奇想の在り方を表現するには相応しくない、「疎外論」という惰性的な意味を含ませてしまっているようにも思うのだが、他の表現を見つけられずにいる。

Posted by ブクログ

2019/03/29

ブルトンが熱賛し、レリスが愛し、フーコーがその謎に魅せられた、 言葉の錬金術師レーモン・ルーセル。 言語遊戯に基づく独自の創作方法が生み出す驚異のイメージ群は、ひとの想像を超える。 -パリ郊外はモンモラシー、天才科学者カントレルの奇想の発明品が並ぶ広大なロクス・ソルス荘へ、いざ-...

ブルトンが熱賛し、レリスが愛し、フーコーがその謎に魅せられた、 言葉の錬金術師レーモン・ルーセル。 言語遊戯に基づく独自の創作方法が生み出す驚異のイメージ群は、ひとの想像を超える。 -パリ郊外はモンモラシー、天才科学者カントレルの奇想の発明品が並ぶ広大なロクス・ソルス荘へ、いざ- 映画「イノセンス」で暴走したアンドロイド、Type2052 “ハダリ(HADALY)”がロクス・ソルス社製だったことは記憶に新しいと思います。 本著もまた「イノセンス」の世界観に多大な影響を与えており、 天才科学者カントレルのロクス・ソルス荘での出来事やイメージを、「イノセンス」の中のキムの邸宅の様子に色濃く伺うことが出来ます。 本当にあったら、ぜひぜひ、カントレル氏のロクス・ソルス荘を訪れて、驚愕の実験や様々な趣向の数々を見てみたいものです。 なにしろ本著の世界観が物凄い!

Posted by ブクログ

2018/04/28

科学者の友人マルシャル・カントレル先生の別荘”ロクス・ソルス”に招かれた私たちは、広大な庭園に配置されている発明品の数々を紹介される。 まず奇妙な装置や人々の行動が書かれ、読者の頭が「?」となったところでそれがなんであるか、どうやって作ったか語られるという構図。 発明品たちは「ど...

科学者の友人マルシャル・カントレル先生の別荘”ロクス・ソルス”に招かれた私たちは、広大な庭園に配置されている発明品の数々を紹介される。 まず奇妙な装置や人々の行動が書かれ、読者の頭が「?」となったところでそれがなんであるか、どうやって作ったか語られるという構図。 発明品たちは「どうやって作ったか」が懇切丁寧かつ平坦に説明されているんだが、「こういう器具で人間の歯からある種の電磁波を集め…」「ある種のメロディーを聴くと蛍光色を発する平べったい虫を手に入れ…」などと言うような余計に頭がこんがらがりそうなこと几帳面に記載してゆくこの作者はよほど凝り性に違いない。  ✔人間の歯から出る微粒子をエネルギーとして騎士に夢見られている撞槌型の飛行機械  →おかげで痛くない抜歯方法を発明しましたよ。(序盤でまだこの本に頭がついて行っていなかったのでこれ以上説明無理(笑))  合間に挟みこまれた寓話的エピソード「自分の命を狙った男の命を助ける乙女たち」のエピソードは印象的だった。  ✔呼吸のできる水の中で髪をなびかせる音楽を奏でる美女や、垂直運動を繰り返しながら同じ話を演じる水中人形たち、ギロチンのあと骨と油を取り除かれたダントンの頭部-すなわち脳味噌や、毛を剃られた猫たち。  →水中人形たちの演技の一つ一つの意味はこのような神話などからとったんです。それぞれの上下運動の規則も計算されています。  そしてこの水は毛髪などの揺れにより音を発します。  ダントンの頭はこうやって手に入れたんだけど、防腐処理に失敗して脳みそだけ残しましたよ。などなど説明されている。  ✔それぞれが奇妙な独り芝居を続ける男たち。 幼子の石像を抱く男、部屋の中から何かを探していき自殺する青年、自分の指を偽物の万力で締め付ける老人…。そして彼らみて観劇する女や子供たち。  →死体にある種の電気を通すことにより、その人物が人生で一番印象的な出来事を繰り返すようになるんですよ。  それぞれの「一番印象的な出来事」を語ることにより、人生の振り返りのような章になっている。愛の思い出、酷い殺人を知るまでの道のりとその殺人の顛末。 文系脳の私には「どのような電磁波をどうやって死体を動かしたか」ということより、「彼にとってこの場面はどういう意味を持っていたのか」のほうが印象的。  ✔娘が踏み殺されたことにショックを受けて狂った父親が、娘の最期の場面を再現し、そして失われた娘の姿を求める様相…  →カントレル先生は、精神を病んだものの治療法としてある種の電気の作用を… これまた文系脳の私には、どのような治療法…というより、愛娘を失った父親の失望と再生の一歩として理解しておく。  ✔女占い師の操る光るカード、男占い師の操る血により未来を予測する鶏。  →彼らが操る「あるメロディーを聴くと蛍光色を放つ平べったい虫」やら、「血を吐くことにより予言を行うよう訓練させた鶏」などのエピソード、 そしてその占い師たちの半生が語られる。 そんなキテレツかつシュールな発明品の数々を紹介された後、私たちは館に入ってご馳走になりましたとさ、おっしまい。 こんなに明るく「おっしまい」という内容でもなかったのですが、かなりシュールで頭の中に描く映像に酔ってしまいそうなので、明るく締めてみました(笑)

Posted by ブクログ

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