ビジネスマンのための「読書力」養成講座で紹介された１冊。見つけたときは、恋人にあったような気がしました。 この本は読みやすいです。 また、テーマが、何も考えずにサラリーマンをしてきた私には考えさせる内容であり、非常に興味深かったです。どなたかと話題にしながら話をしてみたいと思わせる本です。

本書の主張 「私たちは、仕事が人生にもたらしてくれるものを、過大評価している」 ーアリストテレスによれば、余暇は単なる自由時間ではなく、欠乏と仕事の必要性からの解放であり、特定のことをするための機会である ー余暇を過ごすには、知識と正義や自制心といった精神的美徳を教える必要がある ー人間であることのもっとも興味深く、もっとも特徴的な点は、私たちが基本的な要求を見たしたのちにやろうとすることのなかに見える ー有能な女性が、結婚、出産を機にしごとを辞める。フェミニストは家の外で働く選択、昇進するという選択のために戦ってきた。しかし女性は単に働きたかったのではなく、家庭と仕事との間で本当の選択をしたいと思っていたのだ ー成功した女性達が苦労して獲得した「素晴らしい仕事」を辞めるのは、世間で言われていたほど素晴らしくないことに気づいたから（仕事以外の生活が与えてくれるものの大きさに気づいたから）

アリストテレスの仕事観、Ｍ・ウェーバーの職業倫理、イソップ物語のアリ・キリギリス・セミ・ミツバチに見る仕事と人生、Ｗ・モリスの仕事倫理から、ﾃｰﾗｰ、ﾒｲﾖｰとﾚｽﾘｽﾊﾞｰｶﾞｰ、ﾊｰｽﾞﾊﾞｰｸﾞ、ﾏｸﾞﾚｶﾞｰ等の経営学の古典、そして1980年以降のﾋﾟｰﾀｰｽ&ｳｫｰﾀｰﾏﾝ「ｴｸｾﾚﾝﾄ・ｶﾝﾊﾟﾆｰ」、E･ﾎﾞｰｹﾞﾙ「ｼﾞｬﾊﾟﾝ･ｱｽﾞ･ﾅﾝﾊﾞｰﾜﾝ」、W･G･ｵｵｳﾁ「ｾｵﾘｰZ」、A･ﾄﾌﾗｰ「未来の衝撃」らのブームになった新しい経営思想などを織り交ぜて仕事とは何か、を哲学的、倫理学的に考えていく本であり、随所に珠玉の言葉があります。同じビクター・フランクルを引用しながらも飯田史彦「生きがいのマネジメント」との奥の深さの違いを痛感します。翻訳がやや拙く、やはり米国の本は読みづらいと時間がかかりましたが、12章の「更なる何かを求めて」と巻尾の金井壽宏氏の説明を読むだけでも価値がある１冊でした。