商品レビュー
3.9
7件のお客様レビュー
相沢忠洋、杉原荘介、芹沢長介、藤村新一と続く日本の戦前戦後から現代までの旧石器時代の発掘の歴史が物語風によくまとまっている。
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『発掘狂騒史』(上原善広著、新潮文庫)は2017年の文庫だが、2014年の『石の虚塔』の文庫化。 2000年の旧石器捏造事件についても書かれてある。 また群馬県の岩宿遺跡を発掘した在野の研究家、相澤忠洋のドラマチックな生涯についてよく書かれていた。旅芸人の父は旅に出て、母がある日...
『発掘狂騒史』(上原善広著、新潮文庫)は2017年の文庫だが、2014年の『石の虚塔』の文庫化。 2000年の旧石器捏造事件についても書かれてある。 また群馬県の岩宿遺跡を発掘した在野の研究家、相澤忠洋のドラマチックな生涯についてよく書かれていた。旅芸人の父は旅に出て、母がある日家を出てから、兄弟は離れ離れで親戚に預けられる。出征直前の母との再会もあったが、戦後は自転車で行商をしながら石器を拾い集め、やがて発掘に熱中して妻子や生活を返り見ず、資産家の女の援助を受けるなどという話。日本には旅芸人などの定住しない人たちの文化というものが確かにあったというのは、宮本常一などもいう通りで、そうした昔の力の発現もどこかにはあったのだろう。 捏造事件については特異な粘着性のある子弟関係の歪みといった印象。
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有名な石器捏造事件そのものではなく、石器発掘捏造事件を起こした人の「恩師」だった大学教授にスポットライトを当てたノンフィク。初っ端から学閥絡みの醜悪な縄張り争いが出てきて、読んでいて脱力感すら出てくる。日本も記紀神話を歴史として学校教育で教えていた時代があり、それを思うと創世記を...
有名な石器捏造事件そのものではなく、石器発掘捏造事件を起こした人の「恩師」だった大学教授にスポットライトを当てたノンフィク。初っ端から学閥絡みの醜悪な縄張り争いが出てきて、読んでいて脱力感すら出てくる。日本も記紀神話を歴史として学校教育で教えていた時代があり、それを思うと創世記をめぐって議論を重ねている欧米を笑えないなと思う。
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