1,800円以上の注文で送料無料

  • 中古
  • 書籍
  • 書籍

ハリケーン

高嶋哲夫(著者)

お気に入りに追加 お気に入り 追加 追加する お気に入りに追加 お気に入り 追加 追加する に追加 に追加する

定価 ¥1,760

¥220 定価より1,540円(87%)おトク

獲得ポイント2P

在庫なし

発送時期 1~5日以内に発送

商品詳細

内容紹介
販売会社/発売会社 幻冬舎
発売年月日 2018/01/11
JAN 9784344032408

ハリケーン

¥220

商品レビュー

3.1

9件のお客様レビュー

レビューを投稿

2021/09/18

巨大台風が日本を襲う災害サスペンス小説である。災害は人災の側面がある。以下の台詞は不動産トラブルの被害者として大いに共感する。「宅地開発して、後で危険だと分かった場合、売った側にも非を認めて是正していくだけの良心はほしい」(70頁)。この程度の当たり前の良心も開発業者には欠けてい...

巨大台風が日本を襲う災害サスペンス小説である。災害は人災の側面がある。以下の台詞は不動産トラブルの被害者として大いに共感する。「宅地開発して、後で危険だと分かった場合、売った側にも非を認めて是正していくだけの良心はほしい」(70頁)。この程度の当たり前の良心も開発業者には欠けているという現実がある。他にも本書には分譲住宅地の売れ行きが芳しくないのに売れ行き好調と虚偽勧誘するシーンが描かれる。 本書は、いきなり巨大台風が襲う話ではない。序盤は群像劇である。公立中学のヤンキーやリストラ、認知症など現代日本の生活の問題が描かれる。中でも公立中学の不良問題は深刻である。私は公立中学出身であるが、中学受験が一般化した現代で居住地の学区の公立中学に通うことは大変と感じる。本書では別の文脈で「友達が悪かった」との台詞がある(114頁)。これは公立中学の不良問題にも当てはまる。 災害パニックを読みたいという向きには前半は冗長に感じるかもしれない。本書を放り出してしまうかもしれない。しかし、現代日本は様々な悩みのある生き辛い社会である。映画『シン・ゴジラ』のように皆が一丸となって対策に邁進する姿しか描かれない方が不自然である。 また、前半では宅地造成など日常に災害被害が甚大かする原因があることを説明している。目の前の大災害にどう対処するかよりも、日頃からどうしているかの方が重要である。日本人には兎角、目の前の火を消すことばかり気をとられ、根本的な原因追及を疎かにする悪癖がある。喉元過ぎれば熱さを忘れ、過去を水に流し、責任追及を有耶無耶にする。 無能公務員などは自分が行うべきことをしなかったことを棚に上げ、目の前の問題をどう解決するれば良いかを相手に押しつける無反省な態度をとることもある。その点では日常の中に大災害の兆候が存在したことを長々と語る本書は優れて教育的である。 主人公は気象庁に勤める気象予報官である。彼は消極的な人物であったが、土砂災害被災者の会の集会に参加して意識が変わり、住民の命を救うことは考えるようになる(217頁)。公務員の世界だけで生きていると、市民感覚とのギャップが生じる。市民生活の大変さが理解できなくなる。公務員は業界団体と会合するばかりではなく、住民運動の集会などに参加すべきである。 集中豪雨で土砂災害などが起こる可能性がある場合に避難勧告や避難指示を出す。避難勧告や避難指示を出さずに災害が起きると大変である。一方で避難指示を出しながら、避難する状況にならなかった場合も大変である。避難中に高齢者が転んで骨折するなど避難することも大変である。避難を指示するか否かは大変な重たい判断である。 命を救うことを最優先にし、空振りになっても良いから、危険があれば避難を指示するという方針は良い。しかし、それは予報精度を上げ、最善を尽くした上での判断になる。どのような根拠から判断したのか説明責任は常に問われる。この意味では主人公が過去の降雨を加味して土壌の保水力が限界に来ていると説明した点は良かった。説明責任が問われることは予報が当たった場合も同じである。結果オーライは問題である。 実は私は大ヒット映画『君の名は』に対し、糸守町長がどの様な経緯で避難訓練を決断したかが描かれない点に不満を抱いていた。これはサイドストーリーの小説で説明されているが、映画では映像美を描くことが主目的かと思ってしまう。これに比べると本書は日常の中で起こる災害で避難を指示するか否かという現実の葛藤が描かれる。本書では大災害は終盤になってようやく登場するが、非日常の大災害パニック物よりも勉強になる。

Posted by ブクログ

2019/07/09

「富士山噴火」などに続く著者が得意とする、 災害スペクタクル小説かと思いましたが、 今回はちょっと様子が違いました。 臨場感はあまり感じられない啓蒙書のような内容 でしたが、現代社会に対する警告を含んだストーリー には変わりなく、我々は常に災害と隣り合わせで あることを改めて気...

「富士山噴火」などに続く著者が得意とする、 災害スペクタクル小説かと思いましたが、 今回はちょっと様子が違いました。 臨場感はあまり感じられない啓蒙書のような内容 でしたが、現代社会に対する警告を含んだストーリー には変わりなく、我々は常に災害と隣り合わせで あることを改めて気づかせてくれる一冊です。

Posted by ブクログ

2019/01/11

気象庁の予報官が主人公の小説。終わりが尻切れとんぼな感じはあるが、家族の問題なども含め、興味深い主題だったと思う。既に人が住んでいたりする場合、目を背けがちだが、「危険な地域にはそもそも住むべきではない」ということは、防災・減災に向けての教訓として、非常に重要だと感じた。

Posted by ブクログ

関連商品

最近チェックした商品