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商品詳細
内容紹介 | |
---|---|
販売会社/発売会社 | 文藝春秋 |
発売年月日 | 2017/12/05 |
JAN | 9784167909727 |
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奴隷小説
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奴隷小説
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3.3
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7つの短編小説が収められた短編小説集。雑誌掲載の作品を集めたものであるが、発表時期は2006年から2014年の間でばらついている。何かに物理的に捉われていたり、あるいは、支配されている状況を描いた小説ばかりである。「奴隷小説」という短編小説集全体の題名も、そこから来ているのだろう...
7つの短編小説が収められた短編小説集。雑誌掲載の作品を集めたものであるが、発表時期は2006年から2014年の間でばらついている。何かに物理的に捉われていたり、あるいは、支配されている状況を描いた小説ばかりである。「奴隷小説」という短編小説集全体の題名も、そこから来ているのだろう。 どれも、やり切れなさ、あるいは、自分が実際に同じ状況に置かれたらどうなるだろうという怖さを感じる小説ばかりである。どの小説が最も印象的かというのは、人によって異なるだろうが、私は「告白」という短編小説が最も印象的で、最も怖かった。他の小説も、絶望的な状況に置かれた人たちを主人公にしているが、それでも、場面が展開する可能性のある終わり方をしている。しかし、この「告白」は、終わり方こそが救いようがない。 【引用】 「ヤジロー様、これは私たちが如何にして、少しずつ希望を失ったかという物語でございます。言うなれば、希望の瓶が底を突く、というお話。次は私の番でございます」 【引用終わり】 主人公のヤジローは、薩摩から逃げ続け、インドのゴアに到着する。そこで、ある老人と知り合うが、気がつくと、暗闇の中で縛られ身動きが出来ない状態のまま、その老人の「如何に希望を失ってきたか」という話を聞かされる。そして、その老人の話だけでは終わらず、「次は私の番でございます」と「絶望、希望を失う話」をしようと手ぐすねをひいている多くの人たちが待ち構えていることに気がついたところで小説は終わっている。身動きのとれない状態のまま、人が希望を失っていく話を延々と、あるいは、もしかしたら永遠に聞かされるというのは、人が思いつける最も絶望的な状況に近いのではないかと思う。それが、とても怖かった。
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タイトル通り、奴隷がテーマの短編集。 どれも結末がわからないというか、これからもうひと山ありそうなところで終わるのが不気味。
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文庫本になってから読む利点は解説があるから、それがいいのか、邪魔なのか。 この文庫版の政治学者白井聡の解説は、なるほどなあと思う。桐野夏生さんの作品が現代の(平成の)新しいプロレタリア文学ではないか、というところはおもしろい。 ここに集められている7短編は、何かに隷属させられ...
文庫本になってから読む利点は解説があるから、それがいいのか、邪魔なのか。 この文庫版の政治学者白井聡の解説は、なるほどなあと思う。桐野夏生さんの作品が現代の(平成の)新しいプロレタリア文学ではないか、というところはおもしろい。 ここに集められている7短編は、何かに隷属させられて藻掻くか、打ち破れる人間たちだ。現代見聞きするありがちな事情あり、昔の時代にさかのぼったのや、もっとおとぎ話的なのもあるが、それぞれが救われないどうしようもない状態なのは一緒で、作者は怒りに満ちて描いている。 デストピアの世界といっても、人間たちが構成している世界だから、そこに矛盾が生じるのは当たり前、前向きに、個人の努力で、なんて言うのんきさからくる希望のかけらもないのである。 作者の小説はいつも「放っぽりぱなし」の結びなのだが、ことさらこの短編たちは途切れて、漂ってしまうようだ、令和の世に。
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