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ふたつの人生 ウィリアム・トレヴァー・コレクション

ウィリアム・トレヴァー(著者), 栩木伸明(訳者)

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商品詳細

内容紹介
販売会社/発売会社 国書刊行会
発売年月日 2017/10/25
JAN 9784336059178

ふたつの人生

¥1,980

商品レビュー

4.5

7件のお客様レビュー

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2021/08/23
  • ネタバレ

※このレビューにはネタバレを含みます

どちらも引き込まれるように読んだ。 でも、はっきり区別するなら、 『ツルゲーネフを読む声』は好き。 『ウンブリアのわたしの家』は嫌い。 【ツルゲーネフを読む声】 現在と過去を交互に書かれている。 メアリー・ルイーズにいったい何があったのか。 特に好きになったわけでもないエルマーと結婚したが、仕事も頑張って良い暮らしができると思っていたメアリー。 しかし、結婚してからすぐにメアリーの中には何かが違うという感覚があり、それは濃厚になる。 エルマーの姉二人は意地悪だ。元々エルマーとメアリーとの結婚に反対していた。 メアリーの姉レティも妬みがありながらも反対していた。 メアリーはそのまま結婚してしまったが、どうして、この結婚をしてしまったのか。後悔と辛い毎日。 メアリーの気分の浮き沈みがよく描けていて、ものすごく伝わってくるので、メアリーが家に帰るときの憂鬱な気持ちに私自身も胃がキュッとなったり、泣き出したくなる。 情景描写も目の前に広がり、映画を観ているようだ。 それぞれの登場人物がはっきりとした個性を持っていてしっかり伝わってくる。 せっかくロバートの気持ちも知ったというのにまた不幸が重なり、メアリーが可哀想でならない。 両親や姉のレティも心配していたが、メアリーは自分を隠していた。 メアリーは耐えられなくなった。 屋根裏部屋にこもり、ロバートの朗読したツルゲーネフを思い出し、墓を訪れ、空想にふける。 逃避をすることで、なんとか生きていく。 施設に入れられて、ようやく平穏が訪れる。 最後に事実が若い牧師へ語られる。 毒を買ったのは、わざとだ。使ってない。エルマーと鬼姉妹を騙すものだった。 自分の居場所を確保するために。薬も一度も飲んだことがなくトイレに捨てていた。 施設から出てからは、また屋根裏部屋へ。 メアリーはエルマーに「お墓を掘り返してロバートを別の墓へ入れて、私が死んだら同じところへ埋めて」と毎日頼んでいる。 実際はどうなったかはわからない。 ただ、メアリーから聞いた話から、若い牧師は想像する。 “彼女はクウォーリー家の三人が死んだ後も生き延びるだろう” “かくして葬式が執り行われ、恋人ふたりはともに横たわる。” 最後の事実の畳みかけとラストの未来が、ゾクっとした。 苦しい環境から逃避するために作り上げた妄想の中で生きてきて、最後は一緒になるためにそれを現実にする。 苦しめられた人たちと同じ墓に入るなんて地獄だものね。 ツルゲーネフは『初恋』しか読んだことがない。 『父と子』『その前夜』はまた気が向いたら読むことにしよう。 【ウンブリアのわたしの家】 過去に実の親に捨てられて、お金で引き取られたミセス・バラハンティ。 義父に性的虐待を受けたことがあり、逃げ出し、今では家庭的なホテルを運営。 ある日、列車に乗って買い物にいくところ、爆破テロ事件に巻き込まれる。 同じ事件で同じ病院で入院した将軍、ドイツ人青年オトマー、少女エイミーにしばらくホテルに滞在しないかと誘う。 バラハンティ含む4人と、一緒に切り盛りするクインティ、料理人、お手伝いとの暮らしが始まった。 ある日、エイミーの叔父ミスター・リバースミスが見つかり、引き取りに来ることに… ミセス・バラハンティの妄想と現実が混ざり、ミスター・リバースミスにさまざまな語りをするが、気が狂ってるかのようにも思える。 妄想が混じり聞かされる方も困惑、不気味に思うしかない。私自身も読んでて、変な女性だと思ったし、イライラさせられるし、でも、リバースミスも冷淡で嫌な感じの人にも思えた。 だけど、妄想の中にもそれはあり得るかもしれない、可能性はあるかもしれないと思えることもある。 だから、ややこしくなる。 ミセス・バラハンティの妄想に反して、エイミーが幸せになってたらいいなと思う。

Posted by ブクログ

2019/12/14

初めて読んだ作家だが、最初のツルゲーネフを読む声 はとても印象的だ。 貧しい娘が都会の生活を夢見て不幸な結婚生活を 送る内、病弱な従兄弟と自由な時を過ごし癒され 純粋な気持ちで彼を愛する様になる。 従兄弟が突然死に、純粋な恋心が彼への思いと思い出 に囚われていく様を、周りの人々の...

初めて読んだ作家だが、最初のツルゲーネフを読む声 はとても印象的だ。 貧しい娘が都会の生活を夢見て不幸な結婚生活を 送る内、病弱な従兄弟と自由な時を過ごし癒され 純粋な気持ちで彼を愛する様になる。 従兄弟が突然死に、純粋な恋心が彼への思いと思い出 に囚われていく様を、周りの人々の心情を交え なぜ彼女が永く療養施設に居なければいけなかったのか 謎が解き明かされる。 もう一つの、ウンブリアの私の家もロマン小説の作家が 列車のテロに遭いそこで、身内や恋人を亡くした 老人、若者、子供を自分の宿兼自宅に呼び寄せ 事故の傷を癒そうと飼って出るが、こちらの主人公の 女性も現実と妄想が混ざり合い本当には何が真実かは 分からないと言うオチになっている。 二編ともやや抽象的で最後が分かりにくい。

Posted by ブクログ

2018/04/07
  • ネタバレ

※このレビューにはネタバレを含みます

初トレヴァー。なんと軽やかで濃密で、そして食わせものの作品だろうか。まずは栩木さんの翻訳がすばらしい。『ノーラ・ウェブスター』で初めて栩木さんの訳を知り、その美しい日本語に陶然とした。これからも読んでいきたい。 栩木さんがレコードの両面、と訳者あとがきで評されたように、まったく違う人物ではありながら、共通点もあるふたりの女性の人生。二編に通底するのは「本を読む・書く」ということと「妄想」。 両方ともとても悲しい人生を送る、女性の話。 「ツルゲーネフを読む声」は、きれいで若さではちきれんばかりだったメアリー・ルイーズの世界が少しずつ崩れていくのが悲しい。善人ではあるけれど「まったくわかっていない」男で、ちょっとぞぞっとする癖のある夫の描写がうますぎる。気持ち悪い。 目には見えない重石のような悲しみが少しずつメアリー・ルイーズに積み重なっていき、ひとから見たら奇行にしか見えない彼女の行動も私たちには理由があるのがわかる。 「ウンブリアのわたしの家」は、反対にドラマティックな人生を送ったけれど、いまは南イタリアに屋敷を構え、ロマンス小説作家としてもそこそこ活躍している優雅なミセス・デラハンティの物語。 過去に傷はあるけれど、それはもう昔のこと。いまはほとんど悠々自適といってもいい彼女に、またひとつ劇的な事件が起こって深い傷を負う。そこから静かに立ち直る過程を描く…のかと思いきや。とんでもない。 現実と夢と妄想と書物の中の出来事が自在に入り混じって、わたしたちを混乱させる。どこからどこまでが真実で、嘘で、妄想なのか?主人公のみならず登場人物も謎が多く、アメリカでは映画化されたというのも納得。

Posted by ブクログ

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