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商品詳細
内容紹介 | |
---|---|
販売会社/発売会社 | 朝日新聞出版 |
発売年月日 | 2017/06/07 |
JAN | 9784022514745 |
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3.4
288件のお客様レビュー
今村夏子さんの作品を初めて読みました。わりと好きです。多感な少女期の主人公ちひろの成長を通じて、両親が心と暮らしを捧げている宗教について深掘りしていく話。終始それほど悲壮な表現がないので淡々と読めますが、その分、ちひろやちひろの姉のまーちゃん、クラスメイトや親戚たちとの会話の節々...
今村夏子さんの作品を初めて読みました。わりと好きです。多感な少女期の主人公ちひろの成長を通じて、両親が心と暮らしを捧げている宗教について深掘りしていく話。終始それほど悲壮な表現がないので淡々と読めますが、その分、ちひろやちひろの姉のまーちゃん、クラスメイトや親戚たちとの会話の節々から垣間見える繊細な感情のやりとりが心に残りました。ラスト終わり方の余韻が切ないです。
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芦田愛菜が主演して映画化されたことでも話題になった作品です。統一教会の話題がでてから、「宗教二世」という視点からも注目されたのではないでしょうか。 主人公のちひろは幼い頃は虚弱で、両親は手段を選ばずに娘の健康のために奔走しました。その中で出会った「金星のめぐみ」という有難い水の...
芦田愛菜が主演して映画化されたことでも話題になった作品です。統一教会の話題がでてから、「宗教二世」という視点からも注目されたのではないでしょうか。 主人公のちひろは幼い頃は虚弱で、両親は手段を選ばずに娘の健康のために奔走しました。その中で出会った「金星のめぐみ」という有難い水の効能で、ちひろの不調は見事に改善したのです。それをきっかけにして両親は新興宗教にのめり込むようになります。 ちひろは救われましたが、その一方で姉が家を出てしまったことや、叔父夫婦からの「目を覚ませ」と繰り返し訴えかけられていることからは、本人たちは納得していても宗教にのめり込む姿が他者からは「異様」であることがわかります。 「引っ越すたびに小さくなってゆく家」や「その中で存在感を放つ仏壇」というあたりに、身を削って(生活を犠牲にしながら)帰依している両親の姿が浮かび上がります。 物語冒頭にあった「水すりかえ事件」からもわかるように、まさに鰯の頭も信心からで、プラセボ効果ではありませんが、信じていることが力になるということもあると思います。また、これまで自分たちがつぎ込んできたお金や時間が無駄ではなかったと思いたいがために、宗教を否定する人に反発するということもあるでしょう。ちひろの両親の姿は「もしかして、自分たちが信じている宗教は本物ではないのかもしれない」という疑念に気づかないふりを必死でしているようにも見えます。 ちひろ自身も友達からの質問には「騙されていない」と 即答するものの、他人から見た自分たちが「異質」であることには気が付いています。 作品の結末では、ちひろやちひろの家族がこれからの人生でどのような選択をするのか(宗教を抜けるのかどうか)は描かれておらず、どちらかというと尻切れトンボのような印象です。このまま宗教に囚われるのか、ちひろだけがぬけだしていくのか、家族全員で「復帰」するのか。意見の分かれる所でもあります。 現実的なところでいえば、一度入った宗教を抜け出すことは簡単ではないと思います。世間からは白い目で見られるでしょうし、信者仲間からは「裏切者」と疎外されることになるでしょうから、その「恐怖」を考えると「宗教を信じている自分」を変えることは難しいのではないかと思います。 公共の福祉に反しない限りは、信仰の自由は憲法で認められた権利ですから他人があれこれ言うべきことではありません。それでも、「当事者が『幸せ』」でない場合は何らかの洗脳・詐欺的な要素があることが推察されますし、その状況は改善しなければならないでしょう。一方で何をもってその当事者の幸/不幸を判断するのか、という問題もあります。 一朝一夕に答えが出ることのない問題を具体的に想起して考えることができる、という点では、本作の「不透明」な結末は効果的なのかもしれません。
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これはなかなかにキツイ。 我が子のために入信した新興宗教、そして日々は流れる。 圧倒的な「悪」の不在がここまで悲しく辛いのか。 何かを信じるのは我々に与えられた自由ではあるが、それにしてもこの展開は何なのか。 親と子ですら、いいや親と子だからこそ分かり合えないとなるのか。どこまで...
これはなかなかにキツイ。 我が子のために入信した新興宗教、そして日々は流れる。 圧倒的な「悪」の不在がここまで悲しく辛いのか。 何かを信じるのは我々に与えられた自由ではあるが、それにしてもこの展開は何なのか。 親と子ですら、いいや親と子だからこそ分かり合えないとなるのか。どこまでも深読みできるだけにあらゆる可能性を考えてしまう。 淡々としているだけにキツイ作品だった。
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