｢おばけ美術館｣シリーズも四作目となり、小学五年生の館長｢まひる｣にとって、初の仲間のいない、一人出張となるのだが・・・いや、一人いた。今回初登場の、妖精｢リップ｣である。 しかし、このリップが、これまでの仲間たちと違って、まひるに心を開かないようで、終始ブスッとしており、口を開けば減らず口ばかり。チューリップの中から出てきた時は、おやゆび姫を想像したが、どうも、ちょっと違うようだ。 物語は、東京の美術館に貸しだされた、｢家路｣の絵の女の子、｢ジョイ｣から魔女に連れていかれそうで怖いと助けを求められ、まひるは、早速そこを訪れてみるのだが、ふと気が付くと、なんとドールハウスの中に閉じ込められてしまう事態に・・・ このシリーズは、これまで読んだ柏葉さんの作品の中では、最もイメージ通りの児童書だと思っており、対象もおそらく、小学生だというのがはっきり分かるようなシンプルさであっても、これまでは、何か訴えかけるものを感じたが、今回はちょっと、あっさりし過ぎた展開だったかな。くまのぬいぐるみの｢モコ｣や、ひな人形の｢ひなさん｣など、新しいキャラクターの楽しさもあったけど、やはり、ロズゴリー夫人や、ゆうべちゃんといった、いつものメンバーが活躍出来ない状況というのは、ちょっと寂しいものがあったし、何より、主人公のまひる自身の活躍が少なかったのが残念で、却って、リップの捻くれた存在が目立っていたのが印象的だった。 しかし、そんなリップの不機嫌な理由に、ようやく、まひるは気付き、散々頭に来ることを言われ続けながらも、そこで彼女を喜ばせる行動に打って出るのは、やっぱり館長だなと思わせるものがあって良かった。 次回がいよいよラストになるのかな？ どんな物語になるのか、楽しみにしよう。 それから、このシリーズは、毎回、柏葉さんのあとがきが印象に残り、それは、柏葉さんの子どもの頃の思い出が、物語のインスピレーションになっているのではと、感じさせられるものがあるからなのですが、今回はひな祭りで、自分で人形やその服を作った、柏葉さんのお祖父さんのエピソードと、そのお祖父さんに似ているのではと実感した、柏葉さん自身のエピソードには、家族の見えない絆を感じさせられて、微笑ましいものがありました。

お化け美術館には子どもにしか見えないお化けたちが居る。 そのお化けたちの中には、絵の中から出てくる種類のものもいた。 ある日、美術館に体を大きくしたり小さくしたりできる魔女がやってきた。 魔女は魔法で館長さんを小さくしてドールハウスに入れてしまった。 でも、お化けの仲間たちがやってきて館長さんを助けてくれたからよかった。 僕はその魔女につかまりたくないなと思った。

「おばけがいっぱい」だから、美じゅつ館にいっぱいおばけがいるのかと思ったら、まひるがドールハウスにちぢめられて入れられて、そこがおばけだらけだった。びっくりした。 ジョイを助けにきてって、まひるに知らせるのに、美じゅつ館のパソコンを使ってメールするのがおもしろい。だれがメールをするのかおし合いへし合いしているところがすきだった。 さいご、みんなもとにもどってよかった。（小3）