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巨匠とマルガリータ(上)
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巨匠とマルガリータ(上)
¥825
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商品レビュー
4.5
9件のお客様レビュー
第一章の「見知らぬ人と口を聞くべからず」という題は個人的に好きで、本書が良い本である気配がして安心して読み進められた。 ビブリカルな話を持ってきたりするのは典型的だが、ピラトをトピックに選ぶのは珍しく、興味深い。本書は第一部(上巻)だが、第二部(下巻)に向けての結びの言葉、トラ...
第一章の「見知らぬ人と口を聞くべからず」という題は個人的に好きで、本書が良い本である気配がして安心して読み進められた。 ビブリカルな話を持ってきたりするのは典型的だが、ピラトをトピックに選ぶのは珍しく、興味深い。本書は第一部(上巻)だが、第二部(下巻)に向けての結びの言葉、トランジションも素晴らしい。
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キリストの話やらが割り込んできてややこしいことこの上ないのだがかなり長いのでもう一度読む気にはなかなかならない…でもおもしろかったよ
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現ウクライナ・キーウ生まれのブルガーコフ(1891-1940)の長編。 20世紀のモスクワとイエス・キリストの時代のゴルゴタの丘を行き来する、めくるめく物語世界。 春の日の夕暮れ、2人の男がモスクワ郊外の池のほとりを歩いている。一方は作家であり、文芸誌の編集長でもあるベルリオー...
現ウクライナ・キーウ生まれのブルガーコフ(1891-1940)の長編。 20世紀のモスクワとイエス・キリストの時代のゴルゴタの丘を行き来する、めくるめく物語世界。 春の日の夕暮れ、2人の男がモスクワ郊外の池のほとりを歩いている。一方は作家であり、文芸誌の編集長でもあるベルリオーズ。もう一方の若い男は「宿なし」というペンネームの詩人、イワン。 2人はイエス・キリストの「実在」について話をしている。イワンはベルリオーズに依頼されて叙事詩を書いていた。詩にはイエスが実に生き生きと描かれていたが、編集長のお気に召さなかった。ベルリオーズはそもそもイエスなどいなかったと思っていたのだ。そこで1つ、この若いのに言って聞かせてやろうと思ったわけだった。 そこへ1人の外国人風の男が通りかかる。男は黒い右目と緑の左目を持っていた。彼は2人の論争に口を挟み、持論を繰り広げ始める。そして人間の儚さを語り、こともあろうにベルリオーズが極めて奇妙な無残な死に方をすると予言する。そして自分はキリストが存在したことを知っている、なぜなら処刑が決まったその場にいたのだから、と言う。 男が狂人だと思った2人だったが、男の不気味な予言は当たる。 ベルリオーズは死に、男を告発しようとしたイワンは逆に周囲から狂っていると思われ、精神病院に入れられる。 そしてモスクワは奇妙な騒ぎに巻き込まれていく。 黒魔術ショーに、喋る黒猫。狂乱する群衆。 夢か現か、そのあわいを、物語は疾走する。 冒頭に出てくるベルリオーズもイワンも、実はタイトルロールではない。 「巨匠」は上巻の後半になってようやくひっそりと登場する。しかしその本名すら明らかではない。 精神病院に入れられたイワンのもとを、同じ病院に入院している謎の客人が訪ねてくる。彼は、自分は「巨匠」だと語り、イエスとその処刑を命じたピラトゥスの物語を自分は書いたのだという。彼の物語に熱狂し、執筆を支えてくれた女がいたが、「巨匠」も女も既婚者であり、2人は秘密の関係だった。物語が完成し、いざ、世の中に出そうとしたが、ことはうまく運ばなかった。絶望した「巨匠」は物語を火にくべてしまう。 ベルリオーズとイワンを破滅させた謎の男は、果たして悪魔なのか? モスクワに突然現れたのはなぜか? 「巨匠」が書いた物語と男の出現とは関係があるのか? 「巨匠」を支えた女がもう1人のタイトルロール、「マルガリータ」なのだろうか? さまざまな謎を残しつつ、物語は下巻へと向かう。 作者は疾風怒濤の物語の上巻をこの言葉で結ぶ。 私につづけ、読者よ。 望むところ。いざ見届けん。この奇妙な味わいの物語の行きつく先を。 *ベルリオーズの他にも、ストラヴィンスキーとかコルサコフとか、作曲家と同じ名前の登場人物が多いのですが、このあたりも意味があるのかな? たまたま? *「第七の証拠」というタイトルの章、カントによる神の存在証明を引いているようなのですが、「7」という数字は、ヨハネの黙示録も思い出させます。はてさて関係あるのか?? *ソビエト政権に対する体制批判を含むということで、著者の生前には出版されなかったという曰く付きの作品。とはいえ、少なくとも上巻まででは体制批判はなくはないけれど、それより宗教的な主題の方が大きいように感じます。
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