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女形の事 中公文庫

尾上梅幸(著者), 秋山勝彦(編者)

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商品詳細

内容紹介
販売会社/発売会社 中央公論新社
発売年月日 2014/07/25
JAN 9784122059825

女形の事

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2014/10/06

・ 私にとつての尾上梅幸は現7代目菊五郎の父である。これが梅幸7代目である。私の観た梅幸は高年で太り肉であつたため、踊りも何もかもうまかつたに違ひないのだが、私にはそのやうに感じることはできなかつた。役者を見る目がないと言はれればその通りだが、しかし、役者、特に女形は美しくないと...

・ 私にとつての尾上梅幸は現7代目菊五郎の父である。これが梅幸7代目である。私の観た梅幸は高年で太り肉であつたため、踊りも何もかもうまかつたに違ひないのだが、私にはそのやうに感じることはできなかつた。役者を見る目がないと言はれればその通りだが、しかし、役者、特に女形は美しくないといけないのであ る。六代目尾上梅幸、秋山勝彦編「女形の事」(中公文庫)の 編者による解説にかうある。6代目梅幸のブロマイドである。「『十六夜清心』百本杭の恋しい女愛しい男がパッと抱き合った一枚は、歌舞伎の姿というより、 命がけの恋人たちの自然な姿の迫力で(中略)きれいな上に、情愛の度が違うのである。」(277~278頁)私はこのブロマイドを知らないから、さぞかし 見事なものであつたらうと想像するばかりである。さう、私には想像することしかできない。編者秋山氏ですら「私が生まれる二十年近く前に、六代目梅幸さんは亡くなっていて」(275頁)と書いてゐるのである。この6代目、明治3年に生まれ、昭和9年に没してゐる。この梅幸は明治、大正、昭和初期の三代に活 躍した役者であつた。本書はそんな名女形の芸談集である。おもしろい。しかし、正直なところ、あまりに傾きすぎて、いや歌舞伎すぎて私には分からないところもある、そんな書であつた。 ・巻頭は「私の身の上」である。6代目が己が出自を語る。実父は3代目菊五郎の孫、「琴を上手に弾いた女形で」(9頁)あつた。母は興行師の孫娘で「信濃屋といふ芸者屋をして」(同前)をり、「自ら進んで芸者となつて一家を支配し」(同前)てゐた。6代目は「小さい時分名古屋伏見町の実家にゐました折には、赤い長襦袢や模様の付いた着物を着て、女性同様に育てられた」(同前)といふ。13歳の時に5代目菊五郎の養子となり、踊りは藤間(三代目 勘十郎)と花柳(初代壽助)、鼓は望月、義太夫は鶴澤清六、琴は中之島、茶は石州流、生花は古流、書画は四条派の松岡と芝永章につき、村田学校、漢学塾に通ひ、 更には英語も習つた(12頁)といふ。正に稽古事三昧(?)の生活を送つたらしい。個人的には三味線や長唄、江戸浄瑠璃がないのかと思ふのだが、これは習ふまでもない役者の素養、教養であつたのであらうか。英語まで習つたといふのはやはり明治といふ時代ゆゑであらう。それにしてもこれが女形修行の一 端である。これらを踏まへて本書中では様々な女形の心得が述べられる。基本は姿勢であらうか。「子供の時分から女の着物を着せられて、女の髪を結はせられ、立居振舞言葉の使ひ方、世間から見れば男の子とは思へないやうな育て方をされて云々」(139頁)とある。6代目自身がさうであつたわけで、かうなると役者の家の子でなくてはなかなかまともな女形になれないことになる。現在でも歌舞伎に家柄がつきものなのはかういふ事情が関係してゐるのかとも思ふのだが、それゆゑにこれではこの先の歌舞伎界の見通しは暗いのではと思ふのである。今は6代目の時代ではない。巻頭第二は「團菊左逝く」である。養父だけでな く9代目團十郎と初代左団次もなくなり、歌舞伎界は危機を迎へる。そんな中で6代目は名優に育つていつたのである。松竹や歌舞伎座といつても今とは違ふ。 さぞかし苦労したらうと想像する。それがこの芸談になつたのである。女形の心得だけでなく、具体的な役に関する記述も多い。私には分からないながらもおもしろいと思ふ。今の役者と違ふ、のは当然である。6代目は6代目梅幸の時代を生きた。今の役者が今の時代を生きることができるかどうか。これができれば名優になれる。本書を読みつつそれを期待したいと思ふ。

Posted by ブクログ

2014/09/07

六代目尾上梅幸が、というよりも、その時代の歌舞伎役者がどれほど素晴らしかったのかということがよくわかった。それぞれの役者の芸に対す性根と工夫がどれほど求められてきたことか。ほんの些細な指の動きから衣装の工夫まで、その役者根性には驚くばかり。そして、それらを次の時代の役者に伝えてい...

六代目尾上梅幸が、というよりも、その時代の歌舞伎役者がどれほど素晴らしかったのかということがよくわかった。それぞれの役者の芸に対す性根と工夫がどれほど求められてきたことか。ほんの些細な指の動きから衣装の工夫まで、その役者根性には驚くばかり。そして、それらを次の時代の役者に伝えていこうという、強い思いが感じられた。これから、そういう目で歌舞伎を鑑賞しようと思う。

Posted by ブクログ

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