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通りゃんせ
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通りゃんせ
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商品レビュー
3.7
17件のお客様レビュー
マウンテンバイクで旅をしていたら、ある時ワームホールにぶつかって江戸時代の農村に飛んできてしまう主人公のお話。飢えや理不尽な取り立てに苦しむ農民の生活を経験しながら、周りの人たちと絆を深めていく。後半の展開が多少好みではないけど、どんどん読み進めたくなる面白さがありました。
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一気に読了。宇江佐真理「通りゃんせ」、2010.10刊行、2013.12文庫。25歳の会社員、大森連は小仏峠でタイムスリップ、天明6年(1786年)の青畑村に。時次郎27歳に助けられ、妹さな16歳と3人で百姓暮らしを。天明の飢饉の時代、1年半を、連は現代の智恵を駆使することなく誠実に生きる。さなと所帯を持ってくれればと思いながら読み進める。さなが一緒になれないと絶望し自害したときは、ただ茫然。でも、再びタイムスリップした時、江戸での時間はゼロ。山手線で隣に座った青畑早苗との出会い、宇江佐さん粋な計らいです。
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会社員が江戸時代にタイムスリップする小説。ライトノベルにありそうな展開であるが、タイムスリップ先が天明期の農村という点が地味であり、小説の奥深さがある。ラノベは転生先の人生に切り替えるが、『通りゃんせ』の主人公は自分がいなくなった元の世界について思い悩む。ラノベは転生先の生活に容...
会社員が江戸時代にタイムスリップする小説。ライトノベルにありそうな展開であるが、タイムスリップ先が天明期の農村という点が地味であり、小説の奥深さがある。ラノベは転生先の人生に切り替えるが、『通りゃんせ』の主人公は自分がいなくなった元の世界について思い悩む。ラノベは転生先の生活に容易に適応するが、『通りゃんせ』は文明生活と異なる不便さを直視する。風呂やトイレに慣れるのに苦労した(52頁)。 「マックのハンバーガーや分厚いステーキが無性に食べたくなった」(61頁)。感染症の流行で人々が死に絶えた世界で生き残った登場人物も「ハンバーガー食いてえ」と言う(リン・マー著、藤井光訳『断絶 (エクス・リブリス)』白水社、2021年、140頁)。文明生活を懐かしむとしたら、やはりハンバーガーを食べたくなるだろう。ハンバーガーは文明の凄さを体現するものではないが、無性に食べたくなる。消費生活の便利さを象徴するものと言える。 江戸時代の人々は元号よりも干支を使っていた(63頁)。江戸時代の人々は元号の欠点を理解していた。元号は数年でリセットされるため、単位として欠点がある。頻繁にリセットされる単位としては不便なものである。この不便さは、大正という短い元号を経験した近代日本も認識していた。そのために戦前は皇紀が多用される傾向にあった。 元号の欠点に戦後の日本人が気付かなかった理由は、たまたま昭和が長かったからである。単に特殊な昭和の事情を伝統と勘違いしてはならない。昭和レジームに固執するならば、皇紀を利用した戦前の日本人の方が賢いことになる。 江戸時代の農民は虐げられるだけの存在ではなかった。「理不尽なことには徹底して異議を唱え、自分達の暮らしを守ろうとする。そのためには闘うことも恐れない」(136頁)。お上に従順な奴隷根性の日本人は明治以降の国家主義が作ったものと言えるだろう。
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