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幻年時代
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幻年時代
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商品レビュー
3.4
11件のお客様レビュー
自分の幼い頃、過ごした場所での暮らしを思い出すような話。頭の奥深くにあった、遠い昔の記憶をくすぐられるような。
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以前TVで石田衣良さんと対談していた。 あの石田衣良さんが、ちょっと厳しい現実を彼に伝えていたのをとてもよく覚えている。 理想にはるかに近づこうとする姿は素晴らしい。 ただ、時代に合わない。それだけな気がする。 いつか彼の行動がしっかりと実を結んでくれたらなぁ、なんて思った。 ...
以前TVで石田衣良さんと対談していた。 あの石田衣良さんが、ちょっと厳しい現実を彼に伝えていたのをとてもよく覚えている。 理想にはるかに近づこうとする姿は素晴らしい。 ただ、時代に合わない。それだけな気がする。 いつか彼の行動がしっかりと実を結んでくれたらなぁ、なんて思った。 文章自体は少々苦手なところもあるかと思いきや、とてもすーっとしみこんでくるような表現や考えもあり、なんだかんだ言って全体的にバランスはとれた。読んでいて。
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回りくどい言葉の積み重ねだな、と、絡まるような例えだな、と思いながら読み進めて、ふと戻ってくるゾッとする感覚があった。わたしにもある。わたしも知っている、幸せなふりをした家族の裏側を疑っては、逃げられない不安と悲しみに怯えていたこと。あ、あの例えは、幼い経験を積み重ねた言葉たちだ...
回りくどい言葉の積み重ねだな、と、絡まるような例えだな、と思いながら読み進めて、ふと戻ってくるゾッとする感覚があった。わたしにもある。わたしも知っている、幸せなふりをした家族の裏側を疑っては、逃げられない不安と悲しみに怯えていたこと。あ、あの例えは、幼い経験を積み重ねた言葉たちだったのか。坂口家と異なっているのは、食卓の団欒の姿。わたしが何より恐れていたのは、必ず全員が揃ってから、という規則の元始まる食事の時間だった。会話から弾き出された父の姿を盗み見ていたのはいつからだろう。可哀想だと感じてしまったことへの恐怖。何故か今でも鮮明に思い出せる、団地の駐車道路の坂の黒さ。匂い。壁の落書き、畑から飛び降りた時の足裏の痺れや、そこにいることに突然嫌悪感を覚えたときの石ころの様子。保育所の窓際にある本棚。その上に座ったときの部屋はとても薄暗い。この感じ。共有していない体験から、記憶を呼び起こす言葉。好きだとは言い切れないのに、何故か惹かれて仕方がない坂口恭平という人。この本は、なんだろう?とても大切な、というものではなくて、軽く手放してしまえそうなのだ。わたしの中に、もうすでに入り込んでいるから。
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