やはり中山さんの真髄か。なかなか衝撃的なところから始まるけど、なぜこんな事件が起きてしまったのか。中山ファンにしては奇跡のコラボ、犬養さんと古手川さんがその線を追い、つなげてたどり着いた犯人とは。 手品師の左手、引き付けていない手を見るのは犯罪捜査も推理小説も同じか。 エピローグ、よかった。

腹を切り裂かれ、体内の臓器が持ち去られた遺体が都内で発見される。その後も同様の遺体が別の場所で発見される。 その後、捜査によって、被害者に共通点が見つかる。犯人の目的は・・・。 英国を震撼させた切り裂きジャックが現代に蘇る。 というあらすじです。 中山七里さんの作品らしく最後にどんでん返しが待ち構えていました。犯人の動機に私は少し首を傾けましたが、面白かったです。 中山七里さんは、ミステリーだけではなく、作品に正解・不正解がない問題を読者に投げかけてくるものが多い気がします。 本作品では、脳死、移植についてでした。 時代、国、信仰、年齢等違えば、正解・不正解は人数分あって、一つの答えなんてない。相手を尊重し、議論する事が大切だなと思いました。

帯にあったラスト30ページが逆にガッカリしましたが、それまではまずまず面白かったです☆何と言うか、社会派小説として読めば星４つ、ミステリーとして読めば星２つと言った感じかな。あの動機でここまで大胆な連続猟奇殺人はしないでしょ…。 とは言え、ラスト30ページ以外は面白かったですし、特に臓器移植の名医と僧侶の臓器移植討論はかなり読みごたえがあったと思います☆