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マスタースイッチ
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インターネットの自由を巡る大きな問題である「ネットワーク中立性」(通信キャリアやISPによる特定のアプリケーション等のインターネットトラフィックの差別的取り扱い)の権威であり、オバマ政権下で連邦取引委員会シニアアドバイザーをも務めた著者が、20世紀の通信・メディア(電話、映画、ラ...
インターネットの自由を巡る大きな問題である「ネットワーク中立性」(通信キャリアやISPによる特定のアプリケーション等のインターネットトラフィックの差別的取り扱い)の権威であり、オバマ政権下で連邦取引委員会シニアアドバイザーをも務めた著者が、20世紀の通信・メディア(電話、映画、ラジオ、TV、インターネット)の歴史を丹念に紐解き、イノベーティブな新技術が生まれオープンな環境下で発展するものの、いつしか独占企業がその技術を用いて市場を席捲し、「マスタースイッチ」(主電源)をコントロールしてしまうメカニズムを明らかにする。 本書が素晴らしいのは、この1冊を読むだけでアメリカにおける通信・メディアの歴史が理解できてしまうという歴史書としての面白さに加えて、イノベーションを促進するための法・規制がどうあるべきか、という難論点に対する著者なりの答えを導出されている点にある。 通信であればその固定費の重さや、メディアであれば個々の作品がヒットするかが予測できないという事業リスクの高さといった業界構造を背景に、独占を否定はしない。しかし、独占により効率的・安定的なサービスが供給できるというメリットは重要視しつつも、20世紀の独占企業は自社と対立するような破壊的イノベーションについては資本力によって握りつぶしてきたのが実態である(経済的な買収等もあれば、ロビイング活動により規制の導入で意図的に市場参入を遅延させる、等のやり方がある)ことを踏まえると、市場の状況に応じて分離政策を取り、独占を排除するように仕向けることが重要、それが著者の結論である。 ここでのポイントは、独占が悪かどうかという二元論ではなく、独占・非独占それぞれのメリットをうまく享受できるよう、市場・サービスの発展度に応じて規制を変化させるべきだ、という点にある。 さて、20世紀末に登場したインターネットにもこの結論が当てはまるのかどうかについては、2012年に執筆されたこの本書においても明確な記載があるわけではないが、そろそろGoogleやAppleといったITジャイアンツに対して、分離政策を取るべきタイミングは来ているように思われる(実際、欧州はその点を強く意識している)。現在進行形のインターネットの自由を巡る問題について、本書が与えてくれる示唆は大きい。
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米国メディアの台頭遍歴は、誰がマスタースイッチを握るかの歴史そのものであったといえる。そしてその鍵を握るのが政治との関係性。規制をかければ企業の暴走は食い止められるが過度な政府介入を生む。一方自由を認めれば企業の創造的成長を促すが企業は暴走する。かと思えば独占を狙いたい企業が政府...
米国メディアの台頭遍歴は、誰がマスタースイッチを握るかの歴史そのものであったといえる。そしてその鍵を握るのが政治との関係性。規制をかければ企業の暴走は食い止められるが過度な政府介入を生む。一方自由を認めれば企業の創造的成長を促すが企業は暴走する。かと思えば独占を狙いたい企業が政府に根回しして事実上の介入をさせる二律背反の共存という矛盾を作りだすこともある。これらを一通り経験し、酸いも甘いも味わいながら最後翻弄されたのがAT&Tだというところが着目ポイント。もちろんアップル、グーグルといった記憶に新しい構図も今更ながら面白い。
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アメリカにおける電話、ラジオ、映画の歴史。独占のための競争と規制。それから。(いま読んでる) 子供の頃エジソンの伝記を読んで、電話もラジオも映画もみんなエジソンが作ったものだと思っていたのだが、どうやら世間的にはそうじゃないらしいということが大人になるにつれてわかってきて、これ...
アメリカにおける電話、ラジオ、映画の歴史。独占のための競争と規制。それから。(いま読んでる) 子供の頃エジソンの伝記を読んで、電話もラジオも映画もみんなエジソンが作ったものだと思っていたのだが、どうやら世間的にはそうじゃないらしいということが大人になるにつれてわかってきて、これを読んでそれが解明されるかどうかは、まだちょっと分からない。わたしが読んだ本ではエジソンは「権利はベルに譲る」と言っていた。 息子が親を超えるのを恐れるがためにそれをギリシャ神話のクロノスに例えるのがなかなか人文学的ロマン(それはまだ感じられない)? 二段組で延々と長い歴史の話なのでなかなかインターネットの話にたどりつかない。
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