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昭和二十年夏、女たちの戦争
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昭和二十年夏、女たちの戦争
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4.3
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わたしが一番きれいだったとき、わたしの国は戦争をしていた。『昭和二十年夏、僕は兵士だった』の著者が描く。10代、20代の女性たちの青春。 目次 ・実らないのよ、なにも。好きな男がいても、寝るわけにいかない。それがあのころの世の中。それが、戦争ってものなの。(近藤富枝) ・空襲下...
わたしが一番きれいだったとき、わたしの国は戦争をしていた。『昭和二十年夏、僕は兵士だった』の著者が描く。10代、20代の女性たちの青春。 目次 ・実らないのよ、なにも。好きな男がいても、寝るわけにいかない。それがあのころの世の中。それが、戦争ってものなの。(近藤富枝) ・空襲下の東京で、夜中に『源氏物語』を読んでいました。絹の寝間着を着て、鉄兜をかぶって。本当にあのころは、生活というものがちぐはぐでした。(吉沢久子) ・終戦直後の満洲、ハルビン。ソ連軍の監視の下で、藤山寛美さんと慰問のお芝居をしました。上演前に『インターナショナル』を合唱して。(赤木春恵) ・はじめての就職は昭和二〇年春、疎開先の軽井沢。三笠ホテルにあった外務省の連絡事務所に、毎日、自転車をこいで通いました。(緒方貞子) ・終戦翌年の春、青山墓地で、アメリカ兵から集団暴行を受けました。一四歳でした。母にだけは言ってはいけない。そう思いました。(吉武輝子) ・薔薇のボタン―あとがきにかえて
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所謂「銃後」であった女性たちの証言。 取材された当時(もう亡くなられた方ばかりになってしまったが)、それぞれの分野で名を成した方ばかりであるためか、裕福な家庭に生まれた方ばかりのためか、予想より悲惨ではないな、と緒方貞子さんまでは思っていた。 が、最後の吉武輝子さんでガツンときた...
所謂「銃後」であった女性たちの証言。 取材された当時(もう亡くなられた方ばかりになってしまったが)、それぞれの分野で名を成した方ばかりであるためか、裕福な家庭に生まれた方ばかりのためか、予想より悲惨ではないな、と緒方貞子さんまでは思っていた。 が、最後の吉武輝子さんでガツンときた。 多分、この本を読んだ人はみんなそうなんじゃないか。 想像を絶するほどの経験。奪われたのは肉体ではなく「幸せになろうとする意志」だった、と。この壮絶な体験が吉武さんの人生にどれだけ大きな影響を及ぼしたかと思う。 著者がつらい経験をプラスに転化できたように見えると吉武さんに言ったあとの言葉も忘れ難い。 戦争中に行った教育を悔いる女性教師の姿も。 緒方貞子さんは裕福なだけでなく非常に知的な家庭で育ち、その教養、賢さ、行動力を難民支援などに使った。これを名家のお嬢様で恵まれていたからとやっかむ人もいるが、本来こうあるべきでは。 吉武さんのように生きる気力を失うほどの経験をせず、社会的弱者支援に能力を使う。 これこそ理想的な生き方であるように感じた。 吉武さんの最後の言葉を実践したのが緒方貞子さんであるように思える。 こんな経験は誰もしないほうがいい。 しかし、今も同じ経験をしている女性がいることを忘れずにいたい。
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「梯久美子」のノンフィクション作品『昭和二十年夏、女たちの戦争』を読みました。 先日、「青島幸男」の『人間万事塞翁が丙午(にんげんばんじさいおうがひのえうま)』を読んで、戦時下を過ごした女性の実際の姿を知りたくなったんですよね。 「梯久美子」作品は昨年の夏に読んだ『散るぞ悲し...
「梯久美子」のノンフィクション作品『昭和二十年夏、女たちの戦争』を読みました。 先日、「青島幸男」の『人間万事塞翁が丙午(にんげんばんじさいおうがひのえうま)』を読んで、戦時下を過ごした女性の実際の姿を知りたくなったんですよね。 「梯久美子」作品は昨年の夏に読んだ『散るぞ悲しき 硫黄島総指揮官・栗林忠道』以来ですね。 -----story------------- 妻でもない、母でもない、女として戦時下を生きた5人の女性の証言! 人生で最も美しい時を戦時下で過ごした5人の女たち。 作家「近藤富枝」、評論家「吉沢久子」、女優「赤木春恵」、元JICA理事長「緒方貞子」、作家、評論家「吉武輝子」。 明日の見えない日々にも、青春の輝きがあった。 妻でもなく、母でもなく、ただの若い女性だった彼女たちは、あの戦争をどのように生き抜いたか。 大宅壮一ノンフィクション賞受賞の作家が綴った、あの戦争の証言を聞く、シリーズ第2弾。 ----------------------- 『人間万事塞翁が丙午』の主人公「ハナ」よりは10歳~20歳くらい若い世代… 10代~20代で終戦を迎えた五人の女性の証言を「梯久美子」がノンフィクション作品としてまとめた作品です。 一人ひとりの女性の体験が、以下の五章構成で描かれています。 ■実らないのよ、なにも。 好きな男がいても、寝るわけにいかない。 それがあのころの世の中。 それが、戦争ってものなの。 (近藤富枝) ■空襲下の東京で、夜中に『源氏物語』を読んでいました。 絹の寝間着を着て、鉄兜をかぶって。 本当にあのころは、生活というものがちぐはぐでした。 (吉沢久子) ■終戦直後の満洲、ハルビン。 ソ連軍の監視の下で、藤山寛美さんと慰問のお芝居をしました。 上演前に『インターナショナル』を合唱して。 (赤木春恵) ■はじめての就職は昭和二〇年春、疎開先の軽井沢。 三笠ホテルにあった外務省の連絡事務所に、毎日、自転車をこいで通いました。 (緒方貞子) ■終戦翌年の春、青山墓地で、アメリカ兵から集団暴行を受けました。 一四歳でした。 母にだけは言ってはいけない。 そう思いました。 (吉武輝子) ■薔薇のボタン ― あとがきにかえて 戦中から戦後にかけて、価値観も環境も大きく変化する中、辛い体験を経て生き抜いた証言は、生々しく、そして共感する部分も多かったのですが、、、 女性の証言を女性がまとめた作品ということもあってか、感情移入するというところまでは至りませんでしたね。 でも、戦時下を生きた女性の喜びや不安や悔しさには強く共感できたし、そして戦後を前向きに生きようとする逞しさには学ぶべきものが多いと感じました。 そして、これまで具体的なイメージが湧かなかった、戦時下におけ市井の市民の生活、の銃後の生活が、少し鮮明になりましたね。
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