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商品詳細
内容紹介 | |
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販売会社/発売会社 | 朝日新聞出版 |
発売年月日 | 2012/06/07 |
JAN | 9784022646675 |
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f植物園の巣穴
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f植物園の巣穴
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商品レビュー
3.8
127件のお客様レビュー
f植物園に転任してきた佐田豊彦。 造成された水生植物園が担当だ。 彼はそこを「隠り江」と名付けて情熱を注ぐ。 が、ある日大切にしていた日本水仙がなぎ倒されていることに気付く。 何物かが通ったように、椋の大木の"うろ"から水辺へと倒れていたのだ。 思い起こせば...
f植物園に転任してきた佐田豊彦。 造成された水生植物園が担当だ。 彼はそこを「隠り江」と名付けて情熱を注ぐ。 が、ある日大切にしていた日本水仙がなぎ倒されていることに気付く。 何物かが通ったように、椋の大木の"うろ"から水辺へと倒れていたのだ。 思い起こせば、自分はその"うろ"に落ちたのではなかったか? なのに、そこからの記憶がない。 次の記憶は唐突に自室で寝ている場面。 そして歯痛の為に歯科医へ。 前世は犬だったという歯科医の妻、ナマズの神主…次々現れる不思議な人物と、交錯する千代との思い出、ねえやのお千代との思い出、椋の大木、かつて抜いてしまった白木蓮。。。 "うろ"に落ちて以来、何かがおかしい。 「論理的に考えると、うろに落ちてうろから出た記憶がない場合は、未だにうろの中にいるということになる。が、それは論理的には正しくとも私を取り巻くこの現実の展開にはそぐわない。」 これは一体…。 主人公は歯痛に悩まされながら"うろ"に落ちる。 そして、不思議な現状と過去の思い出を行ったり来たりしながら、 蓋をして忘れていた大切な思い出、関わった人の思い、時の流れ、人の生き死にや連なりとに、少しずつ向かい直す。 時は川のように流れてゆくもの。 水は正しき方向へ流してやらなくてはならない。 止水しては滞りを生んでしまう。 主人公はこの不思議な世界で自らを形作っている人や風景を再確認し、過去を取り戻し、真実と向き合っていく。 「しくしくとした歯の痛みは、そのまま軽い陰鬱の気を呼び、それが気配のしんしんとした雰囲気とよく狎れ合って、何所とも知れぬ深みへ持って行かれるような心地。」 「それにしても「千代」が寄ってくる人生である。」 「おや、この千代はその千代かこの千代かあの千代か。ふと、箸を止めて考え込む。どうも「千代なるもの」が渾然一体としてきている。」 「この木、以前は目につかなかったのだが。」 「ーはあ。けれどそんなこと、誰にも分かりませんよ、見えてくるまでは。」 「そうだ、すっかり忘れていたが、月下香は妻の千代の好きな花であった。」 「……とにかくこの滞りを取り、水を流さねばならぬ、……」 「カクスナ。アラワレル。」 土瓶さんのレビューを参考にし、積んであった『裏庭』を避け、代わりに…と手に取ったのが本書だった。 面白かった!! 後半から様々なことが明らかになってゆく。 梨木香歩さんだとやはり『家守綺譚』には敵わないのだけれど、ユーモアもありながら感動する作品。 読み終えても暫く余韻に浸ることとなった。 不思議に可愛らしい河童の坊(道彦)には情が湧く。 ☆大気都比売(おおげつひめ) 日本神話における食物の神。
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- ネタバレ
※このレビューにはネタバレを含みます
最初は展開がよくわからないまま読み進めていましたが、途中からこれは主人公の過去を掘り起こしているとわかるとそこからは読みやすくなりました。 特に同行していた坊の正体は涙腺にきます。 ときどき痛む、穴が開いた歯の部分は心ということで、誰にもそういううろはあるものだと思いました。
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人間、嫌な経験をするとそれを意識から追い出すことで何とか生きていく、という仕組みになっているみたいだけども、そのやり方が必ずしも最善ではないということだろうな。フロイトの治療過程を思わせた。 同著者の「家守綺譚」のシリーズにも近い和風異界的な「不思議」の描写が多いので、お好きな...
人間、嫌な経験をするとそれを意識から追い出すことで何とか生きていく、という仕組みになっているみたいだけども、そのやり方が必ずしも最善ではないということだろうな。フロイトの治療過程を思わせた。 同著者の「家守綺譚」のシリーズにも近い和風異界的な「不思議」の描写が多いので、お好きな方はどうぞ。 本作だけでもお話としては成立するが、途中に出てくるちょっとした記述が、続編「椿宿の辺りに」への布石となっているので、そちらもあわせて読みたい。
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