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人はなぜ騙すのか
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人はなぜ騙すのか
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人間の社会・歴史における狡智(ずる賢さ)の在り方や意味を探る。題名にあるような騙すことそのものの理由を問う内容ではない。 「ずる賢いこと」は現代では一概に悪と見做されがちだが、本書によると古代ギリシャの英雄譚や日本の神話や中世武家社会においては寧ろ機智や実践智として尊ばれ、賞...
人間の社会・歴史における狡智(ずる賢さ)の在り方や意味を探る。題名にあるような騙すことそのものの理由を問う内容ではない。 「ずる賢いこと」は現代では一概に悪と見做されがちだが、本書によると古代ギリシャの英雄譚や日本の神話や中世武家社会においては寧ろ機智や実践智として尊ばれ、賞讃の対象ですらあったという。この狡智が漢才(学問・学識)の対義語としての“やまと心”・“やまと魂”(実生活上の智恵・才能)に相当するのでは、という著者の言説は興味深い。対する中国思想やプラトン以降の西洋思想における狡智の消極的・否定的な捉え方についてもおもしろかった。 とかくフィクションにおいて英雄や武士は常に清廉潔白で正々堂々とした存在として描かれがちだが、実際の神話や軍記物語などではそのような“真人間”より策謀に長けた切れ者のほうが多いということもあり、自分はその事に違和感を覚えていた。寧ろそれには当て嵌まらない者たち--例えば大河ドラマ『真田丸』の真田昌幸・信繁(幸村)親子や徳川家康、『鎌倉殿の13人』の北条義時や大江広元など--のほうが昨今の作品では魅力的だった。本書はこの個人的なモヤモヤ解消に少し役立った。
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「騙す」ことについて、膨大な資料を駆使して解説している面白い本だ.最初のほうで最近見た Catch me if you canが出てきて驚いた.日本神話で登場人物が策略を駆使して生き延びる事例を紹介しているが、倫理的な反省は全くないとのこと.平家物語にも騙しあう事例が多い由.馬喰...
「騙す」ことについて、膨大な資料を駆使して解説している面白い本だ.最初のほうで最近見た Catch me if you canが出てきて驚いた.日本神話で登場人物が策略を駆使して生き延びる事例を紹介しているが、倫理的な反省は全くないとのこと.平家物語にも騙しあう事例が多い由.馬喰八十八の物語をペースに日本人の「騙す」についての考察が楽しめた.やまと魂についての解説、意外な感じがした.中国の古典、ギリシャ神話なども例に引いているが、引用文献が凄い量だ.p224の"騙すことの前提となっている他者への理解は、騙すことばかりでなく、他者の苦痛や悩みを理解し共感することともつながっている.それは、騙すという利己的な行動とはむしろ正反対な、他者をいたわったり助けたり、あるいは何か有益なことを教えたりという、愛他的な行動の基礎ともなっているのである." という語句は重要な考えだと感じた.
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人を騙す。戦争や政治、商売の場面で、知恵を絞りながら相手に勝つプロセスでは、騙すつもりはないが結局騙したことになったり、騙すつもりで騙したり、さまざまな場面で人を騙すことがある。この騙すということに対する、日本、中国、ギリシャでの文化比較がテーマ。 結局のところ、道徳的な観点をど...
人を騙す。戦争や政治、商売の場面で、知恵を絞りながら相手に勝つプロセスでは、騙すつもりはないが結局騙したことになったり、騙すつもりで騙したり、さまざまな場面で人を騙すことがある。この騙すということに対する、日本、中国、ギリシャでの文化比較がテーマ。 結局のところ、道徳的な観点をどこまで考慮するかが課題なのだが、戦争の場合、道徳ばかり説いていても殺されてしまえば元も子もない。圧倒的な力の差がある敵を前に、知力で対抗するというのはよくある話。戦争ならばどこまで許されて、商売ならばどこまで許されるのか。面白い観点での本である。 個人的には、馬喰八十八の話は長すぎると思う。実際の戦争や政治での論争をネタにした話で整理できると良いのだが。
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