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オスカー・ワオの短く凄まじい人生
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オスカー・ワオの短く凄まじい人生
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商品レビュー
3.9
113件のお客様レビュー
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※このレビューにはネタバレを含みます
西加奈子の『まにまに』で紹介されていて、読みたいまま放置していたことを思い出して読んだ。信頼のクレストブックスが提供する大河ドラマとなればおもしろくないはずがない。これまで読んだことない要素のてんこ盛りで新鮮な読書体験だった。 主人公がオスカーなのは間違いないのだが、彼の母、祖母、祖父がメインのエピソードもかなりの分量で含まれているので、彼の一族全体が主人公という言い方がしっくりくる。オスカーのナードっぷりにまずは頭をぶち抜かれる。異様としかいいようがないカルチャーへの大量の言及、それに対する膨大な注釈の量はカルチャーという鈍器でぶん殴られたのかと錯覚するほど。そんな彼が現実社会と折り合いをつけるためにストラグルする話がオモシロかった。特に恋愛面では読んでいて苦しくなるくらいストレートな行動の数々に思わず応援したくなるし、同じサブカル野郎として思い当たることも多く成就してくれ!と中盤あたりは祈っていた。 オタクの恋愛物語というだけであれば『電車男』と変わらないのだが、本著がぶっちぎりで圧倒的なのは彼の母、祖母のエピソードを通じてドミニカの歴史を語っていく点にある。ドミニカといえばプロ野球の助っ人外国人の出身地という浅ーい認識しか持ってないなかったのだが、独裁者に牛耳られていた時代が30年近くある。そこの描写がかなり多めに入っていて、オスカーとはまた別のベクトルのストラグルが存在しており彼の物語とのギャップが大きく読み応えがあった。大きな歴史に対して三世代の親子関係が絡んでいきマクロとミクロが交差していく語り口が素晴らしかった。
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翻訳がすごい。英語とスペイン語とカリブ海の独裁国家の歴史とダンジョンマスタースクリーンまで理解して日本人が読んで楽しめるレベルにしている。 個人的には傑作と感じたが、万人受けしなさそうで他人にはお勧めしづらい。オスカーのオタクコンテンツに懐かしさを感じることができなければ序盤でリ...
翻訳がすごい。英語とスペイン語とカリブ海の独裁国家の歴史とダンジョンマスタースクリーンまで理解して日本人が読んで楽しめるレベルにしている。 個人的には傑作と感じたが、万人受けしなさそうで他人にはお勧めしづらい。オスカーのオタクコンテンツに懐かしさを感じることができなければ序盤でリタイヤしてたかも。
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- ネタバレ
※このレビューにはネタバレを含みます
軽妙で読みやすい語り口の文章はとても上手く、定期的に「うおおお」とテンションが上がるシーンが来るかんじ。 表題やあらすじからは非モテオタク男子の話を想像するが、実際は半分くらい彼の姉・母・祖母の来歴が物語られて「荒々しくたくましい女性たちの小説」という印象。特に姉ロラの第2章が白眉。男と家出した彼女を迎えに来た母から走って逃げようとするシーンの疾走感と迫力はすごい。 肝心のオスカーの話は正直そんなに……持てない男の哀れな自己憐憫と破滅を物語る手付きはウエルベックのほうが好みかな。 オタク・サブカル要素も表層の面白さ以外の意義があるのか疑問。『AKIRA』とかTRPGとか、俺らの知ってるやつが出てきてうれし〜以上の何かがあるのか。オタク的想像力を、ドミニカの独裁者トルヒーヨの悪夢的治世と対置というか衝突させて描いている……的なことがあとがきにあったが、そこまで成功しているのかは怪しいと思った。 ラストで姪にあたる少女を新たに登場させていい感じに結ぼうとしてるのもなんだかなぁ。。 文章が上手くて読みやすくてキャッチーで物語の筋は単純で 、良くも悪くも『Twitter文学賞1位』に相応しく、それ以上の何かではないと感じた。 あとこれマジックリアリズムではないと思います。超自然的な要素が少しでも出てきたらマジリア判定なの? 訳者あとがきでも、本書のバルガス・リョサ『チボの饗宴』への目配せ(対抗意識)を紹介したすぐあとで「この、中南米マジックリアリズム全体に喧嘩を売っているとしか思えないディアスの態度…」と書いているが、いい加減、中南米文学=マジックリアリズムという無理解にもほどがある図式はやめませんか。出版社が商業的意図でやるならまだしも(新潮社だし)、翻訳者・研究者がって…… 裏表紙に推薦文が載ってる高橋源一郎も。(まぁゲンちゃんへの信頼はとっくに失せているので今さら幻滅とかはしないけど)
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