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戦艦武蔵ノート
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戦艦武蔵ノート
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商品レビュー
4.6
11件のお客様レビュー
2023年12月読了。 8ページ ラディゲの「多くの若い少年達にとって、戦争が何であったかを思い出してみるがいい。それは、四年間の長い休暇だったのだ」引いて、「この表現に強い親近感をおぼえる」というこの感覚が戦果を生き延びた人から出てくる、それも戦争を否定的に捉えている人から出...
2023年12月読了。 8ページ ラディゲの「多くの若い少年達にとって、戦争が何であったかを思い出してみるがいい。それは、四年間の長い休暇だったのだ」引いて、「この表現に強い親近感をおぼえる」というこの感覚が戦果を生き延びた人から出てくる、それも戦争を否定的に捉えている人から出てくる、この辺りの感覚が実に難しい。
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会社の先輩から「イチオシ」で勧められた一冊。 『戦艦武蔵』の前に、まずはこちらから読めとのこと。 吉村昭の粘り強い取材記録である。 「乗組員ではなかった自分に戦艦武蔵を描く資格はあるのか?」と 自問自答を繰り返し、苦しみながらも、 「戦争を経験した人間の本当の姿を描き出したい」 という情熱に駆られ、歴史の記録を忠実に残そうとする ひたむきな姿勢に感動した。 資金をやりくりして精力的に出張に出かけ、少しずつ手掛かりを集めて、 多くの人に協力を仰ぎ、インタビューを行うことは、途方もない時間を要するもの。 インタビューの発言や、文献の中には、嘘の情報もあるわけだから、 出口の見えない、長いトンネルを手探りで歩き続けるようなものだ。 当然、作品は出版されなければ収入に繋がらない。 どれだけの情報を集めれば、作品に仕上げられるレベルになるのか、 納得できるまで取材を続けることは、相当な精神力が求められるのだろう。 吉村氏が取材旅行で利用した「交通手段」の描写は印象に残る。 取材を始めた頃は、東京から長崎まで夜行(しかも座席)だった。 まだ小説を書けるかどうか、分からない状態だったのだろう。 ところが、取材の最後の方は、九州から東京まで飛行機である。 太宰治賞を受賞したことによる経済的な余裕、『戦艦武蔵』を書ききる 十分な情報を集めきった精神的余裕の表れだろうか。 ただの取材記録だと思っていたが、まるで推理小説のように楽しむことができた。 さて、これから本番の『戦艦武蔵』を読み始めよう。
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この本は、吉村昭が「戦艦武蔵」を執筆する際にその建造に携わった人や乗組員、建造された造船所のあった長崎の市民などから聞き取り調査をした記録である。 取材は昭和40年頃に行われた。終戦から20年という時期なので、現在とは違い戦争中既に大人でそれなりの年齢や地位に就いていた人がまだ...
この本は、吉村昭が「戦艦武蔵」を執筆する際にその建造に携わった人や乗組員、建造された造船所のあった長崎の市民などから聞き取り調査をした記録である。 取材は昭和40年頃に行われた。終戦から20年という時期なので、現在とは違い戦争中既に大人でそれなりの年齢や地位に就いていた人がまだ健在だった。 そのため、戦艦武蔵の建造や沈没時の様子はもちろんのこと、戦争中10代の少年だった作者自身の当時の記憶や戦争に対する思いが記されている。 私は、戦艦武蔵の建造の過程や進水、沈没時の様子も然ることながら、戦争中における庶民の中に漂っていた空気や、戦中戦後の新聞やラジオ等の報道のギャップ、そしてなぜ戦争に突入したのか、なぜ敗色濃厚なのにすぐ終わらせなかったのか、などを作者自身が分析しているところが興味深かった。
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