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堤中納言物語
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堤中納言物語
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商品レビュー
3.4
8件のお客様レビュー
- ネタバレ
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十の物語が入った短編小説集、院政期末期で貴族文化が頽廃にむかっていたころで、思いがけないやや歪んだ話をあつめたもの。第三編の「虫めずる姫君」が秀逸。 「花桜折る中将」 姫と間違えてその祖母を盗み出す話 「このついで」 中宮を慰めるために話をするが、気の毒な女性の話をしてしまう。 「虫めづる姫君」 美しいがお歯黒も黛もせず、毛虫を可愛がり、子供に虫の名前などをつける姫の話、姫の理屈にはやや老子からとった節がある。 「ほどほどの懸想」主従三人がそれぞれの相手と結ばれるが、主人だけは後悔する 「逢坂こえぬ権中納言」 貴公子が恋になやみ、姫の寝所に入りこんだが、思いをとげない。 「貝合せ」色好みの蔵人が子供にほだされて観音様になって願いをかなえる。 「思はぬ方にとまりする少将」 二人の少将がたがいの恋人である姉と妹を間違えて結ばれる。 「花々のをんな子」 好き者が里さがりした女房たちの話を聞き、上流階級の実情を聞く 「はい墨」 浮気した男がもとの女にほだされてもとの鞘におさまる。新しい女は白粉とはい墨をまちがて顔にぬってしまう。 「よしなごと」 僧の内縁の妻となっている女に、その女の師にあたる僧が物をたかる手紙を書く話。物欲がいっぱい。 『源氏物語』とくに宇治十帖との関連が指摘されており、和歌や『伊勢物語』などとの対照もしっかり説明してある。何より、平安物語の型を書いてくれているのが大変面白く読めた。
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いも虫を大事にして、それがどんな綺麗な蝶になるかわからないという、そのものの見方が、花の咲くのを待つようで愉快といえるだろう。
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